ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

とんかつの歌

2009-08-05 10:53:59 | 日記・エッセイ・コラム

なにか急にてんぷらが食べたくなって
二つ先の町まで車を飛ばしたが
あいにくの定休日。
仕方なく中華屋さんにしようとUターンしたが
ここもお休み・・・・・
結局はとんかつを食べることになった。

もう随分昔のことになるが
大学入学の祝いにと
目黒のとある借間で女がとんかつを揚げてくれた。
衣をはがして肉だけ食べる偏食青年に
「一緒に食べなさい」 と母親のようなしぐさ。
はじめて見るレタスに困惑していると
「美味しいから食べてごらん」 と姉さんのようなことば。

東京の夜は仄々とゆたかな匂いがして
新しい生活への不安はいっぺんに消えうせた。

そのときの女というのが今、テレビの前でまどろんでいる。

        とんかつの歌

     とんかつにしようか
     あの日のとんかつに
     ふたりぽっちの夏だから
     とんとん とんかつ とんころりん
     とんとん とんかつ 夢ん中