お隣から赤飯がとどけられる。
孫の運動会だという。
ぼくら小学生のときの運動会は
大平崎という小高い丘のてっぺんであった。
村を一望し
黄金色にかがやく稔田の中を
煙を吐きながら小さなポッポ汽車がはしる。
100m競争。
よーいドン!赤組白組6人がいっせいに駈けだす。
ぼくも全速力で駈ける、
手足がばらばらになるほど無我夢中、
周囲の声援など耳にとどかない、
ふみせんせいも懸命に旗を振っている、
そして息せき切ってゴールイン!
結果は、前の選手から大きく離されてビリ。
毎年同じパターン、5位に上がれない。
ゆるやかにイワシ雲がながれ
眼下の清流では銀鱗が跳ね
おだやかな風に人も村も包まれているが
ぼくの一所懸命は天に届かないのであった。
草もみぢ名前を埋めし日の遥か