庭の辛夷が咲き始め
ようやく桜もほころんできた。
こんな気持ちの良い日は銀行へいこう。
・・・・溜まっていたものの支払いに。
客はいない。
円の変動の数字が青く明滅している昼下がりの
のどかな銀行。
風邪引かないようにと
行員から声掛けられてちょっぴり嬉しい
春の日のひと時。
そろそろ旬の鰹でもと思ったが
〈今日はあまり良いものがない〉と魚屋の大将。
アジのたたきを勧められる。
海なし県のむかし、魚と言えば
塩鮭とさがんぼ(鮫の肉)ぐらいしか並んでいなかった。
たとえアジとはいえ
こんなに新鮮なものは食べられなかった。
*さがんぼ=皮を剥いたものをぶつ切りにして
醤油・砂糖・酒で煮る。冬場に食べる
ことが多く、煮こごりが美味。
告げやうか黙しゐやうか花の下