庭や公園の樹木の葉が変形しているのを調べてみました。あまり気持ちのいい画像ではありませんので、どうぞご容赦ください。

虫コブ(虫瘤)は虫えい(虫癭)ともいい、植物に寄生する虫によって植物組織が異常に成長してできる瘤状の突起のことで、英語ではゴール(gall)とよばれています。種類によって没食子(モッショクシ)、五倍子(ゴバイシ)とよばれて、薬用や染料、インクの材料などに使われます。
特にブナ科の虫コブから抽出した没食子インクは「古典インク」ともよばれ、ヨーロッパでは9世紀頃より使われてきた歴史を持ちます。

これはエノキハトガリタマフシです。
名前の付け方はいたって理論的で分解すると、「榎の葉にできた尖った玉状のフシ(虫コブ)」となります。エノキトガリタマバエの幼虫が、広い個室を一人で使っているそうです。

コナラメリンゴフシも分解すると、「コナラ(小楢)の芽にできたリンゴ(林檎)のようなフシ(虫コブ)」です。ナラメリンゴタマバチが寄生して越冬芽に作り出しました。

気持ちが悪いですが、これはサクラハトサカフシ(桜葉鶏冠付子)、鶏のトサカ(鶏冠)に似ています。サクラフシアブラムシが作るマイホームです。

紅い小さな袋がいっぱいついているハルニレハフクロフシ(春楡葉袋付子)です。オカボノクロアブラムシが、ハルニレの葉表に住宅団地をつくってしまいました。
一方こちらは、ツバキ類(ツバキ、サザンカなど)とツツジ類(ツツジ、サツキなど)だけに発生するもち病という病気ですが、これも広い意味での虫コブとされているようです。

ツバキ(椿)やサザンカ(山茶花)の葉が、もち病菌で肉厚に肥大しています。

ツツジ(躑躅)やサツキ(皐月)では葉や枝に、焼いたもちのような異常なふくらみが出てきます。
我が家でもサザンカとサツキに毎年このモチ病が発症しますが、早めに病害の葉を摘み取り、ダコニールという薬剤散布で対応しています。
調べてみると、虫こぶはいろんな樹木に発生するようですが、身近で撮ったものだけ紹介させていただきました。
虫瘤ももみづる頃となりにけり 高澤良一
中山は材木のまち五倍子を干し 富安風生
採るべくもなき崖五倍子に目を止む 松藤夏山
※「もみづる(紅葉づる)」とは秋になって草木が色付くこと
※「五倍子」は秋の季語です