アジサイは日本原産で万葉集にも2首詠まれています。18世紀に欧米に渡って改良種が逆輸入されたりして、その品種は2,000とも3,000ともいわれていますが、正確な数字は分からないというのが現状のようです。因みに栽培の歴史の古いバラは、40,000種以上の品種が登録されているそうです。

農林水産省のホームページをみるとアジサイの品種登録はわずか388種です。挿し木で簡単に増やせるアジサイですが、登録品種のものは増やして販売することは違法になります。しかし、品種登録するには出願料 1品種47,200円、それに年間登録料は6,000円~(10年超えると年36,000円)、しかも25年で育成者権は喪失してしまいます。こういう事情から正式に登録されていない品種が多いようです。

今年も数か所まわったアジサイ園も60種5,000本とか、100種10,000本とか品種数を強調していますが、名札はあまり付いていません。名前なんかどうでもいいのかも知れませんが、名札の付いた名花?の一部を撮ってみました。ぴったりのネーミングには思わず笑ってしまいましたが…。

これはすぐにそうだよな!と頷いてしまいました。天使のほっぺ」

「ダンスパーティー」 星型の八重の薄い花びらがまるで踊っているようです。命名品種120種をもつ加茂花菖蒲園の作出で来園者が命名したそうです。

「セルリアンブルー」 2006年に桐生市のさかもと園芸で品種登録されました。

「雪あそび」 白さとリズミカルな花の配列に命名者の感性が光ります。

「金平糖」 白い縁取りのある青とピンクのガクが砂糖菓子のイメージ。育てる土壌のph値によりガクの色は変わります。これも加茂花菖蒲園の作出で来園者が命名したそうです。品種登録済の品種なので許可なしに増殖、販売はできません。

「西安」 西安(シーアン)は、秋色アジサイとしても人気の西洋アジサイで、初夏に咲いた花が秋にはアンティークカラーの色あいに変化します。

「おはよう」 加茂花菖蒲園が作出した品種登録済のガクアジサイ、中央の両性花と周りの装飾花がピンク、薄紫、青色に変化します。

「カシワバアジサイ」 カシワの葉のような形の大きな葉とコーン状に咲く花が特徴です。仙人の住んでいる市では、70歳の記念樹として配っているので、玄関前などに植えてあるとすぐに年が分かってしまいます。

「ブルースカイ」 スイスで品種改良されたガクアジサイ、青花品種なので澄んだ青色は土壌がアルカリ性になっても変化しないそうです。

「アナベル」 すっかりおなじみの手毬形の品種。北米東部で発見された野生のアメリカノリノキの変種が、オランダで改良されました。

「ウズアジサイ(渦紫陽花)」 病変で萼片が内側にまるまって渦を巻くように咲いたのを改良した品種だそうです。オタフクアジサイ(お多福紫陽花)ともよばれます。

「隅田の花火」 これもガクアジサイの有名種、横浜の花光園の先代園主が見つけ最初は「花火アジサイ」と呼んでいました。伊豆諸島の自生種が原種といわれています。
言問はぬ木すらあぢさゐ諸弟(もろと)らが練りの
むらとにあざむかれけり 大伴家持 (巻4773)
もの言わぬ木でさえ、紫陽花の色が変わるように、(言葉巧みな)諸弟(もろと)の(あなたが愛しているという)言葉にすっかりだまされてしまいました。(解釈の一例)
紫陽花や帷子時の薄浅黄 松尾芭蕉
紫陽花や昨日の誠今日の嘘 正岡子規