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天台宗羽黒山覚城院二本松寺は、平安時代の初め天長年間(824)、慈覚大師円仁によって現在の潮来市茂木に創建されたと伝えられています。鎌倉時代建久2年(1191)、嶋崎氏初代左衛門尉高幹公が嶋崎城築城の際、京都・比叡山を模して鬼門除けとするため、1ヘクタールの敷地を寄進して城の北西1.5キロの現在の地に移転開山、境内を城郭として嶋崎城の出城の役割を持たせました。
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その嶋崎氏は平国香の子孫、常陸平氏大掾一族の庶流で、鎌倉初期にこの地に進出し戦国末期には4万5千石を領して鹿島、行方両郡に割拠する国人領主(南方三十三館)で筆頭の勢力を持ちました。小田原の役(1590)では佐竹氏に従い参戦し、秀吉にも拝謁した嶋崎氏ですが、秀吉から常陸一国の所領を安堵された佐竹氏が、翌1591年に鹿島・玉造・行方・手賀・烟田・武田氏等とともに常陸太田城に招いて酒宴中に謀殺してしまいます。直ちに佐竹氏は軍勢を鹿行地域に進撃し、城主不在となった城をすべて攻め落としたという、いわゆる「南方三十三館の仕置」が行われました。
佐竹氏にとっても豊かなこの地は魅力的で、すぐに領地支配の堀之内大台城を築きますが、12年後には家康の命で出羽国に移封されて廃城となり、この一帯は水戸藩領となりました。
嶋崎城は2019年12月25日の拙ブログにて紹介させていただきました。
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さて、その二本松寺ですが、いまアジサイの寺として近隣に名が広まっています。
もともと亡くなった方の供養のために植えられたというアジサイが次第に数を増やしていき、現在では100種類、10,000株のアジサイが40,000㎡の境内に植えられています。
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アジサイを鑑賞する通路は一方通行なので効率よく歩け、密も避けることもできます。始めは田と向かい合わせの台地斜面に植えられた一面のアジサイで、瓦チップが敷き詰められている広い通路は歩きやすく田園風景も合わせて楽しむことができます。
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城郭とした比高約20mの台地に上る斜面を利用した「あじさいの杜」は、高低差が数多いアジサイの魅力をさらに引き出しています。
いろんな種類のアジサイを鑑賞して、最後にお寺境内に入るコースになっています。
水戸徳川家の崇敬も厚く元禄4年(1691)には光圀公が本堂を改築寄進し、14石余の寺領と1万石の格式を与えたと伝わります。
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境内の槇の木は、光圀公が本堂を寄進した時に、お手植えされたといわれている目通り周3.5m 樹高13mの大木で潮来市指定文化財に指定されています。
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本堂は二本松寺移転開山800年の平成3年(1991)に改築落成されました。本尊は、ほぼ等身大の木造薬師如来坐像で、茨城県指定文化財に指定されています。
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光圀公が詠んだ「ふたもとの 松のみとりの 色映えて 紅にほふ 軒のむめが香」の歌碑が二本(ふたもと)松の根元に建っています。もちろん当時の松でないことは確かです。
あじさいの期間中は入山参拝料が300円ですが、手入れの行き届いた数多いアジサイと、伝わる800年の歴史を充分に堪能できました。