偕楽園と弘道館の梅林では6月半ばに行われる恒例の「梅落とし」、今年は6月9日、10日の2日間でした。ここ数年、大不作の年が続いており、鈴なりの木も見受けられた今年は期待しましたが、コロナ感染対策のため例年行われる一般販売は去年に引き続き中止になってしまいました。
梅の木の数は、公表で偕楽園が3000本、弘道館梅林が800本になっていますが、老木が多いことに加えて100種類以上ある梅の中で約40%が花を鑑賞する「花梅」で、これは実がほとんど生らない品種もあります。
また、年々開花が早まり、受粉時期にまだ日本ミツバチなどの昆虫の活動が見られず不作になることもありました。
偕楽園の梅落としは、来年もきれいな花を咲かせるのが主眼なので、実が熟す前に収穫して栄養を木に残すように早めに行われています。
梅の木の下にシートを敷いて長さ4mくらいの竿で枝を揺らし大きさ3cmくらいの青梅を落としていました。作業していた方に尋ねたら、今年は去年の倍以上収穫できそうだとの答え、2日間で終わらなかったという話も後で聞きました。
偕楽園、弘道館併せて20トンも採れた年もあったそうですが、ここ数年は不作が続いていただけに、せっかくの豊作の今年こそ市民に販売したかったと思います。偕楽園の梅というプレミアがつくので、人気が高く毎年すぐに完売していました。
そういうことで今年は、加工業者や酒造会社などに販売されるそうですので、生菓子や梅干し、梅酒となってお目見えすることでしょう。
ところで、水戸市では花を愛でるばかりでなく梅の実の生産地としての知名度アップを目指し、いまジョイント仕立という栽培方法を奨励しています。主枝を隣の木の幹と結束バンドでつなぎ,何本もの木を直線状の集合木として栽培する方法で、5年で成木並みの収穫があり、施肥、管理、作業の効率化が図れるとされます。
この栽培で収穫された梅は、「福」を「結ぶ」という意味を込めて名付けられた「ふくゆい」というブランド名で今年の出荷が始まりました。今年は24軒の生産者が約3haの農地で約5トンの収穫予想と新聞に出ていました。
実のたわわになっている写真を撮ろうとしましたが、収穫が終わっていました。開花時期の写真でご容赦ください。
たたきたたきて青梅のむしろ増え 今瀬剛一
累々として今生の実梅たり 廣瀬直人
楸邨や兜太の頭や青実梅 和知喜八
熟し梅盗人のように拾いたり 顎鬚仙人