宿は「弥四郎小屋」だ。尾瀬には何回か来ているが、この小屋に泊まるのは初めてだった。
尾瀬の小屋は風呂もあるし、トイレも水洗で快適だ。
別館の6畳部屋に女性2名の先客があった。
『布団一枚に一人ということでお願いします』とアルバイトのお兄さん。
まだ二人来るのかと思っていたが来ず、結局4名で一部屋となった。
北アルプスなど混雑時は布団一枚に2人3人なんていうこともざらでそれを考えたら天国だ。
同室のお二人は沼山峠から入って裏燧を周ると言う。
我々がまた元の道を戻ると言ったら、『大江湿原のニッコウキスゲは素晴らしかったですよ』と言う。
母を連れているので段小屋坂の登りが心配なことを言うと、『大丈夫だと思いますけどね』
鳩待峠まで標高差約200m、尾瀬沼まで260m、少しあるけど頑張って行ってみようか、ということになった。
弥四郎小屋~尾瀬沼
前にこの道を歩いたのは17年前になる。
その時は小さかった子供達を連れて、けっこう頑張らせた記憶がある。
しかし17年ぶりの段小屋坂はほとんど木道が整備され、登りも緩やかで大したことはなかった。
ちょっと気をつけなければいけないな、と思ったのは白砂峠からの急な下り。
それも難なくクリア。ホッとする。
尾瀬沼畔の休憩所では座るところも無いほど人でごった返していた。
尾瀬沼~大江湿原~沼山峠
尾瀬沼沿いにいくつかの小さな湿原のお花を見ながら歩く。
そしていよいよここを抜ければ大江湿原というところ。
歩いている人々、みんなが歓声を上げる。
どこまでも広がっているニッコウキスゲの一面の原!
見事というほかない。
『素晴らしいね。こっちに来てよかったね』母も喜んでくれる。
ビジターセンターへの分岐を左に折れ、沼山峠へ。
湿原の端っこまでニッコウキスゲがびっしりだ。
こちらは尾瀬ヶ原より標高が高いので、まだ生き生きとした花が多い。蕾もまだたくさんありまだまだ楽しめそうだ。
『いよいよ見納めだね』
陽射しが暑く、沼山峠への最後の登りが大変だったが休みながら何とか峠を越えることができた。
途中でどこかのおじさんが『あれっ。昨日至仏に登ったおばあちゃん?』と聞く。
いいえ、と答えると『昨日81才のおばあちゃんが娘さんに連れられて至仏に登っていたよ。』と言う。
『もう少し若いです』と母。
「まだまだ上手がいたね」とびっくり。
至仏山は岩もごつごつして歩き難いところもある。81才で登るなんて凄いの一言。
きっと日頃から山慣れた方なのだろう。
しかし母もバテもせず歩き通した。
疲れただろうけど『まだまだ大丈夫』と言ってくれる。
「これだけ歩ければ立派だよ。ダンスを続けている限りまだまだ歩けるよ。」
母は週2回フォークダンスをしている。やはりそのおかげだろう。息も上がらず歩き通せたのは。
でもやはり年のことを考えると心配ではあった。
とにかくお天気も良く、お花も満開、そして何事も無く無事に行ってこられて本当によかった。
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