活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

色校正がつまらなくなった

2011-02-12 11:44:22 | 活版印刷のふるさと紀行
 今年は雪が多いせいでしょうか毎日のようにテレビが 豪雪地や日ごろ雪とは無縁の都市の雪景色を映し出してくれています。
 あれを見ていて「おおっ真白だ」と感心しているのは私一人だけでしょうか。私の経験ではオフセット印刷の色校正の場合、白い雪がブルーをかぶって出校されてくることが多くて、「もっと白く」などと素人っぽい赤字を入れたことが何度もあったからです。

 もちろん、以前のフィルム製版の時代の話です。
 当時の「色校正」は面倒でした。白の反対色、黒ならいいかといいますと、着物の留袖の
黒が黒ではなくて藍っぽく出てきたもりしました。色だけではありません、その被写体のもつ質感などもどうもウマク再現されないケースがありました。

 「ポジフィルムは透過光で見ます。印刷物は反射光で見ます。だから、写真原稿通りとはいきません。色も印刷の場合は印刷インキですから」印刷会社の営業担当の人は言い訳とも慰めともつかぬことをいうのです。

 「まあ、いいか」、こちらも開きなおって、該当箇所をマルで囲んだり、斜線でつぶしたりして、「アカおさえる」とか「黄みツヨク」とかやや、あてずっぽうで書き込むのです。どうも文字校正と違って色校正にはキマリがなくって校正マンがめいめい我流でやっていたフシがあります。
 そして再校が出てきます。たいていの場合、初校よりも数段良くなっていました。オフセットの神様、レタッチの達人がいて、直してくれたのでした。

 そのフィルム製版の時代が終わり、DTPデータ処理の時代がきて色校正も様変わり、神様が姿を消したかわりに、なんだか簡略化されたようで気に入りません。校正でちょっと複雑な注文をつけると、もう一度、製版からやり直し。それもコンピュータで数値処理をするのですから、いったい、どうなっているのかわれわれにはわかりません。
 おまけに、簡易校正とかで、インクジェットで色を出した校正紙を見せられたり、本機校正などと勿体をつけて「これは本紙ですから」と特別扱いみたいにいわれるのはスカンです。




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする