活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

印刷産業と統計数字

2011-02-23 15:26:53 | 活版印刷のふるさと紀行
 大げさなタイトルになってしまいました。 そのわけはこうです。
 昨日、後楽園の中華飯店で三時間も話し込んでしまいました。一人は文京区内の印刷会社の社長さん、もう一人は大学の先生、もう一人かくいう私の三人組でした。

 おおげさな話のきっかけは最近の学生の就職難の話題からでした。「印刷業界もひところにくらべて採用人数を絞り込んでいるものなあ」ご多分に洩れず競争がきびしくて、利益がでない、設備投資も切り詰め、社員数も抑えなくてはならないと社長さんの経営環境談義がつづきました。

 製造業では5本の指に入る規模を持つ日本の印刷産業ですが、売上高は約7兆円で前年比で3.3パーセント減、事業所数は約3万社で9.5パーセント減、したがって従業員数も約35万4千人で前年比4パーセントちょっと減っているというのです。業界全体で売上17兆円とか最低でも12兆を目指していたころから見ると「斜陽化」といわざるを得ないでしょうか。

 でも、これはあくまで工業統計の数字であって実態に即していないというのが三人の共通意見でした。というのは、印刷産業の中でもエレクトロニクスのような分野の数字が入っていない、いわゆるオフセット印刷のようなプリンティングそのものに統計数字が限定されすぎで、いっぱいオチがあるというのです。

 さらに前日の日経の朝刊第2部に掲載された2012年春卒業予定の大学3年生の就職希望調査のランキングに話が及びました。総合ランキングで東京海上日動火災保険がトップ、
日本生命が2位、3位が三菱東京UFG銀行というあれです。ベスト100までの中に、印刷会社では大日本が22位、凸版が39位で入っていましたが他にはありません。

 「おそらくこの2社は社名に『印刷』とあっても、印刷会社と受け止められていないのじゃないか」新しい領域に乗り出している印刷会社はほかにもたくさんある。印刷産業連合会が事業目的の一つにかかげている業界のPRが足りないのではないか、いや、もういい加減≪黒子産業≫や≪その他製造≫の既成枠からだっしないと…カンカンガクガクはつづきました。統計数字よりも、ほしいのは実際の数字だよ。ごもっとも。


 



コメント
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