活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

プランタン・モレトウスのこと

2011-03-05 17:44:41 | 活版印刷のふるさと紀行
 雛祭りのシーズンになって東京に真冬の寒さが逆戻りしてきました。
ベルギーの友人から手紙が来ましたが、あちらも例年より寒そうです。
 彼は「グーテンベルクよりもクリストフ・プランタンの方がエライ」と力説するプランタン信奉者です。

 もう何年も前、アントワープで「日本のポスター展」を開催したとき、彼の案内で『プランタン・
モレトウス印刷美術館』を3回も見に行きました。
 プランタンはフランス人で、リヨンで「印刷術」の腕を磨き、1555年にアントワープで
印刷所をひらきます。グーテンベルクよりもちょうど、百年遅れのことでした。

 そしてわずか十数年、1570年代には世界でも指折りの「印刷王国」を築き上げます。
 印刷美術館では盛業時代の印刷機の並んだ作業場をはじめ、プランタンで印刷した書籍、木版画
や銅版画、インキュナブラや写本など、まさに印刷文化が百花繚乱、見学客の目を奪います。
おまけに、厨房や食堂のような住居部分まで見ることができて、当時の「印刷人」の生活まで
想像できました。

 ゆっくり、ヨーロッパの古い印刷文化を見て回るうちに、2001年ユネスコが遺産の指定をしたことも、
グーテンベルクよりもプランタンがエライのも素直に頷けるから不思議です。
パリからは特急で2時間、ぜひ、あなたも足をのばしてください。フランダースの犬も待っているかもしれません。



コメント
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