活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

印刷技術の進展と高度消費社会が生んだポスター

2011-03-28 10:25:02 | 活版印刷のふるさと紀行
 東京都庭園美術館の「タイポグラフィ展」のつづきです。
 
 第3部は躍動する文字と図像:大衆社会とタイポグラフィの連結と題して、1960年代から
70年代のポスター展示です。このコーナーでは個人的ににも好みのウェス・ウィルソンの
数点の作品にくぎ付けでした。そして横尾忠則作品であの高度成長時代の鮮烈な印象が蘇
ってくるのでした。

 第4部は電子時代のタイポグラフィ:ポストモダンとDTP革命です。
ここにはお世話になったり、なっている日本の高名なデザイナーの作品がズラリと並んで
いてうれしく、懐かしいコーナーでした。
 印刷技術のめざましい進展と高度消費社会がすばらしいタイポグラフィのポスターを生
みだしたのです。

 しかし、庭園美術館をあとにしながら考えたことがあります。
底なしの閉塞感というか、3・11の地震以来の日本にあって、タイポグラフィを含む
ポスター表現がどのように変革していくのか予測できません。

 今回の展覧会の作品は竹尾ポスターコレクションからが大部分と聞いておりますが、
コレクションがますます充実し、21世紀のポスター展が催されるときはどんな経過を
辿るのでしょうか。私には想像できません。

 



 
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20世紀のポスター[タイポグラフィ]

2011-03-28 09:18:18 | 活版印刷のふるさと紀行
 「タイポグラフィ展」の会場構成は1900年から1990年までを4部にわけていました。
 サンセリフとよばれるヒゲのないシンプルな書体の出現で文字で見せるポスターが出始
めた1900年代の初めから、パソコンを使った新しい表現や印刷手法のポスターが続出しだ
した1990年代までを20世紀のポスターの時代としてくくった展覧会というわけです。

 ≪「タイポグラフィ」は活版印刷技術との関係の中からうまれたものである≫ 第1部の
アプローチ壁面にある解説は庭園美術館の浜崎加織さんの思想でしょう。蓋し名言。

 第1部「読む文字から見る文字へ:タイポグラフィの革新で目に飛び込んで来たのが、
エル・リシッキーの「ソヴィエット連邦展」やA.Mカッサンドルの「キナ入り食前酒デュ
ポネ」力感あふれるポスターであり、とても1930年前後の作品とは思えない新鮮さです。
さらに、エルンスト・ケラーやテオ・パルマーの文字だけのポスターは「読む文字から
見る文字へ」が納得できます。

 第2部がタイポグラフィの国際化:モダンデザインの展開と商業広告の拡大です。
山城隆一さんの「森・林」や亀倉雄策さんの「ニコンSP」、原 弘さんの「日本タイポグ
ラフィ」の有名作品も登場します。

 

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