活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

タイポグラフィ展と佐藤晃一さん

2011-03-27 12:00:56 | 活版印刷のふるさと紀行
 東京都庭園美術館の「タイポグラフィ展」にようやく行ってきました。
 それも閉幕3日前、東北巨大地震でついつい外出を控えていてこんなにギリギリになって
しまったというわけです。

 「来てよかった、じっくり観られてよかった、いい展覧会だった」
 
 庭園美術館の玄関、車寄せの左側に佐藤晃一さんデザインの催事告知パネルがポツンと
置かれていた。そのデザインがすばらしい。 計算され尽された白地の効いたスペースに、
大きくTの文字が置かれ、その横に三原色の三つの円、さらに、Tの横棒の上ぎりりぎりに
横にTYPOGRAPHIC POSTERSとレイアウトされ、Tの縦棒の右ぎりぎりにOF THE 20TH CENTURY
がいずれも白抜きで置かれていて、しかも3つのOが白でつぶされていた。

 確かに、二〇世紀のポスター[タイポグラフィ]─デザインのちから・文字のちからが今回
の「タイポグラフィ展」のタイトルです。
 この佐藤さんのデザインの狙いを私流に考えてみました。こんどのポスター展にかぎらず、
いつも内外の作品が並んでいる会場で思うことはアルファベット文字の処理のしやすさで、
逆に漢字・ひらがな・カタカナと縦組み、横組みの混在する日本のタイポグラフィの処理は
デザイナー泣かせだと同情してしまうのです。

 ところが、この佐藤さんのデザインでは横文字をヨコとタテにごく自然にあしらって調和
させています。
 実は図録の中の「あなたにとってタイポグラフィとは?」という質問に、佐藤さんがアメ
リカ人デザイナーから日本人は文字を縦にも横にも組めるし、レイアウトの可能性が横文字
の倍もあるといわれて妙な気がしたエピソードを紹介しておられます。案外、それへの回答
ではないでしょうか。違っていたりして。
 きょうは入り口だけで終わってしまいました。
 
コメント
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