活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

金文字と銀文字が交互の一切経

2011-04-24 16:49:41 | 活版印刷のふるさと紀行
印刷博物館の『空海からのおくりもの』展で思わず釘づけになった
展示物は多いのですが、これはそのひとつ。
 「紺紙金銀字一切経」です。「大丈夫論巻下」とあります。
 装飾経というのだそうですが、まず、美しさに注目しました。

 紺色に色付けされた料紙に銀色の罫線が引かれていて、その罫と罫の
間に1行17字詰めで、金と銀の文字が行ごとに交互に書写されていて
見るからに惹きこまれる華麗さです。
 写真右側には釈迦如来を中央にした説法風景の版画がこれまた、見事
に表現されています。

 この一切経には語り伝えられているストリーがあるそうです。もと
もと奥州平泉の中尊寺の経蔵にあったというのです。藤原初代の清衡
(きよひら1056~1128)が中尊寺建立のとき願いがかなうように納めた
もので、豊臣軍の奥州攻めのとき豊臣英次が持ち出して高野山に寄進し
たとされています。
 もっとも、現在、中尊寺に15巻、高野山に4296館あるそうですが
「国宝」です。
 
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お山を下りた「高野山の書庫」

2011-04-24 13:50:41 | 活版印刷のふるさと紀行
 印刷博物館で「空海からのおくりもの」━高野山の書庫の扉をひらく━
と題した待望の企画展が昨日4月23日から始まりました。
 高野山秘蔵の仏像や仏具などは山を下りて公開される機会はありましたが
日本中世の書物や版画、版木などが山を下りたことはありません。

 そこで印刷博物館の樺山紘一館長は「高野山の書庫」がはじめてお山を下
りました。ぜひ、弘法大師空海が唐から日本に招来した仏教印刷物を通して
日本の古印刷文化を観てほしいと胸を張っておられました。

 秘宝79点(国宝2点、重要文化財31点を含む)が第1部「それは山の
正倉院だった」第2部「甦る文字と日本語」第3部「描かれた空海」第4部
「遺産を忘れない」の4部構成で展覧されていますが、圧巻です。

 かつて神田川大曲塾の印刷文化史研修で高野山霊宝館を訪ね、館長から高
野版について講義を受け、勉強したことがありますが、今回の企画展では
「宋版一切経」、「高麗版一切経」のような渡来印刷物に始まって、高野山
で開版された版木や版画、刷りものを通じて、日本の印刷文化の根源に触れ
ることができます。7月28日までですから、休日にゆっくりご覧になるか、
2度、3度足を運ばれてはいかがでしょう。


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