今月は、ロイド・アリグザンダーの「プリデイン物語」を紹介しています☆
物語自体は、ロイド・アリグザンダーのオリジナルなのですが、名称やモチーフの多くを、ケルトの神話、特にウェールズ地方に伝わる古い伝説からとっています。
死の国アヌーブンの王アローン。
実りの女神ドン。
海神リール。
ギディオン王子に吟遊詩人の長タリエシン。
妖精や地霊たちが身近に存在し、魔法使い達がかっ歩する、まだ人間が、自然と共に生きていた時代の物語♪
それらをベースして、作者が想像力と、若い人たちへのメッセージを込めて新たに作り出した世界「プリデイン物語」
今回は、その第三回。主人公タランが思いを寄せる、エイロヌイ王女に重大な危険が迫る、スリルと驚き、そしてほんのちょっぴりのロマンスを含んだ冒険譚♪
『タランとリールの城』
を、ご紹介します☆
「わたし、王女になんか、ちっともなりたかありません!」
リール王家の血を引く金髪の乙女エイロヌイが、タラン達と共にカー・ダルベンで暮らすようになってから、どれぐらいの歳月が流れたのか。裸足で駆け回り、服を引っかけ、いつもどこかしら擦り剥いている王女様に、保護者である、老預言者ダルベンは、モーナ島のルーズルム王とテレリア王妃のところでしばらく暮らし、王女にふさわしい立居振る舞いを学ぶようにと言い渡します。
不満げなエイロヌイ同様、彼女との別れを納得しようとしながらも、どこかヘンな気分に悩まされるタラン。
いまだ豚飼育補佐であるタランは、王女さまとの身分の差を意識してしまい、屈託なく、カー・ダルベンでおしゃべりしまくる彼女に、自分の気持ちを伝えられずにいるのです。
無事にエイロヌイをモーナ島まで送り届けるために、毛むくじゃらのガーギと、カラスのカーを伴って、彼女に同行することになったタラン。
そんな彼らを、港で待っていたのは、遠くモーナから迎えに来た、ルーン王子でした。
そして、やがてタランは知るのです。ルーズルム王とテレリア王妃が、エイロヌイを、この息子のルーン王子の妃にしようと考えていることに!
ネタばらしするなって?
いえいえご安心を。
今回、こんなことは序の口。
かえって王子に遠慮して、エイロヌイを譲ろうと(「私は誰のものでもなくってよ!」)するタランがいたりして、そういう”美味しいところ”も宣伝しておきたいんです☆
しかもこのルーン王子。
お坊ちゃんというか、ボンボンというか、どうみても数々の冒険を乗り越えてきたタランとは比べ物にならない。エイロヌイのことを思いながらも、ルームズ王との誓いで、この恋敵のルーン王子を補佐しなくちゃいけないタランの板挟み状態がなんとも心が押される!
しかも、このルーン王子には、どんでんがえしの展開が待っていたりして☆
今回も、もちろん、春だからという理由でフラフラ旅に出てしまう困った王様、吟遊詩人のフルダー・フラムも登場!
いつも散々な目に会う彼は、今回も猫にまつわるちょっとしたトラブルに見舞われます(笑)←この意味は読んでのお楽しみ♪
なかなか凝った腹芸を披露してくれる、ドン一族のギディオン王子。
ほんと、この人のあらわれる所、もめごとアリって感じで、密かに私は「プリデインの水戸のご隠居」って呼んでいます☆
エイロヌイが、いつも服の隠しに入れて「安ぴかおもちゃ」と呼んでいる、リール王家の黄金のたまの秘密も今回ついに明らかに!
肩書きや身分に対するコンプレックス。
それを克服するものとは何か?
人は、何によってその人たるのか?
タランの恋の悩みは、人生における様々な場面での悩みに共通していて、彼の苦悩と決断が、一つの指針を与えてくれているような気がします。
ロイド・アリグザンダーの筆は、余分な装飾をはぶいて、どんどん核心だけでストーリーが進んで行くようで、想像力の余地がたくさんあります。そこが、新鮮で、この物語の魅力の一つでしょう。
春の陽気に誘われて、自分の王国を飛び出してしまう困った王様、吟遊詩人のフルダー・フラムと共に、タランの冒険の仲間に参加してみませんか?
でもこれだけはご用心。
自分をみかけ以上に大きくみせたり、立派にみせようなんて思ったら、フルダー・フラムの竪琴の弦はびぃぃん! とたちどころに切れてしまうのです。
人間、身の丈に合った自分が一番♪
そんな自分でも、認めてくれる大切な人を、失わないようにしなくちゃね☆
ロイド・アリグザンダー 著
神宮 輝夫 訳
評論社
物語自体は、ロイド・アリグザンダーのオリジナルなのですが、名称やモチーフの多くを、ケルトの神話、特にウェールズ地方に伝わる古い伝説からとっています。
死の国アヌーブンの王アローン。
実りの女神ドン。
海神リール。
ギディオン王子に吟遊詩人の長タリエシン。
妖精や地霊たちが身近に存在し、魔法使い達がかっ歩する、まだ人間が、自然と共に生きていた時代の物語♪
それらをベースして、作者が想像力と、若い人たちへのメッセージを込めて新たに作り出した世界「プリデイン物語」
今回は、その第三回。主人公タランが思いを寄せる、エイロヌイ王女に重大な危険が迫る、スリルと驚き、そしてほんのちょっぴりのロマンスを含んだ冒険譚♪
『タランとリールの城』
を、ご紹介します☆
「わたし、王女になんか、ちっともなりたかありません!」
リール王家の血を引く金髪の乙女エイロヌイが、タラン達と共にカー・ダルベンで暮らすようになってから、どれぐらいの歳月が流れたのか。裸足で駆け回り、服を引っかけ、いつもどこかしら擦り剥いている王女様に、保護者である、老預言者ダルベンは、モーナ島のルーズルム王とテレリア王妃のところでしばらく暮らし、王女にふさわしい立居振る舞いを学ぶようにと言い渡します。
不満げなエイロヌイ同様、彼女との別れを納得しようとしながらも、どこかヘンな気分に悩まされるタラン。
いまだ豚飼育補佐であるタランは、王女さまとの身分の差を意識してしまい、屈託なく、カー・ダルベンでおしゃべりしまくる彼女に、自分の気持ちを伝えられずにいるのです。
無事にエイロヌイをモーナ島まで送り届けるために、毛むくじゃらのガーギと、カラスのカーを伴って、彼女に同行することになったタラン。
そんな彼らを、港で待っていたのは、遠くモーナから迎えに来た、ルーン王子でした。
そして、やがてタランは知るのです。ルーズルム王とテレリア王妃が、エイロヌイを、この息子のルーン王子の妃にしようと考えていることに!
ネタばらしするなって?
いえいえご安心を。
今回、こんなことは序の口。
かえって王子に遠慮して、エイロヌイを譲ろうと(「私は誰のものでもなくってよ!」)するタランがいたりして、そういう”美味しいところ”も宣伝しておきたいんです☆
しかもこのルーン王子。
お坊ちゃんというか、ボンボンというか、どうみても数々の冒険を乗り越えてきたタランとは比べ物にならない。エイロヌイのことを思いながらも、ルームズ王との誓いで、この恋敵のルーン王子を補佐しなくちゃいけないタランの板挟み状態がなんとも心が押される!
しかも、このルーン王子には、どんでんがえしの展開が待っていたりして☆
今回も、もちろん、春だからという理由でフラフラ旅に出てしまう困った王様、吟遊詩人のフルダー・フラムも登場!
いつも散々な目に会う彼は、今回も猫にまつわるちょっとしたトラブルに見舞われます(笑)←この意味は読んでのお楽しみ♪
なかなか凝った腹芸を披露してくれる、ドン一族のギディオン王子。
ほんと、この人のあらわれる所、もめごとアリって感じで、密かに私は「プリデインの水戸のご隠居」って呼んでいます☆
エイロヌイが、いつも服の隠しに入れて「安ぴかおもちゃ」と呼んでいる、リール王家の黄金のたまの秘密も今回ついに明らかに!
肩書きや身分に対するコンプレックス。
それを克服するものとは何か?
人は、何によってその人たるのか?
タランの恋の悩みは、人生における様々な場面での悩みに共通していて、彼の苦悩と決断が、一つの指針を与えてくれているような気がします。
ロイド・アリグザンダーの筆は、余分な装飾をはぶいて、どんどん核心だけでストーリーが進んで行くようで、想像力の余地がたくさんあります。そこが、新鮮で、この物語の魅力の一つでしょう。
春の陽気に誘われて、自分の王国を飛び出してしまう困った王様、吟遊詩人のフルダー・フラムと共に、タランの冒険の仲間に参加してみませんか?
でもこれだけはご用心。
自分をみかけ以上に大きくみせたり、立派にみせようなんて思ったら、フルダー・フラムの竪琴の弦はびぃぃん! とたちどころに切れてしまうのです。
人間、身の丈に合った自分が一番♪
そんな自分でも、認めてくれる大切な人を、失わないようにしなくちゃね☆
ロイド・アリグザンダー 著
神宮 輝夫 訳
評論社