前からさがしていた、原田マハさんの小説、
『キネマの神様』(文藝春秋)
をようやく読むことができました♪
シネマ好きにはたまらない小説!
何度も観ているのに、「ニュー・シネマ・パラダイス」(監督ジュゼッペ・トルナトーレ)や、「フィールド・オブ・ドリームス」(監督フィル・アルデン・ロビンソン)を、もう一度観たくなってしまいました!
映画を愛する人々が登場します。
ちょっと偏屈だったり、オタクだったり、ギャンブル好きだったり、人がよすぎたり。
みんな人生に迷ったり、うまくいかなかったり、挫折だって経験してきているけれど、いつも映画に救われてきた…
シネコンなども手がける大手の開発会社を、半ば追われるように辞めてしまった主人公。
ちょっとしたことがきっかけで、老舗の映画雑誌のライターとして採用されますが、その会社は長年赤字続きで半分傾きかけています。
主人公の父親は、賭け事が好きでいつも借金まみれ。
知り合い中にお金を借りているくせに、どこか憎めない性格で、賭け事と同じくらい好きなのが映画を観ること。
映画雑誌、映画好きな老人、ネット、書き込み、世間が注目。
ネットでの映画評論が話題になり、雑誌の売り上げにも貢献する主人公の父親ですが、その文章が翻訳され、全世界に公開されると、思わぬライバルが現れます。
顔の見えないネットの世界で繰り広げられる映画をめぐる舌戦。
どちらも自分の主張を展開するものの、映画を愛していることには変わりがない。
やがて二人のやりとりはそれは読んでいる人々の共感を呼び、映画ファンは二人のやりとりを待ち望むようになります。
加熱するネットの世界!!
自分の好きな作品について語ること、映画ファンとしてこれほど楽しいことはありません!
私もこうして本の感想を書いていますが、気持ちは同じ。
たくさんの名作と呼ばれる映画から、誰も知らないようなマニアックな映画まで、物語の中に登場する映画すべてが観たくなっちゃう♪
小説の中ではまったく個性の違う二人が、それぞれの切口で映画を批評し、そのかけあいが楽しいのですが、実際はそのどちらもを作者である原田マハさんが考えて書いているわけですからね。
すごい才能だなぁ~
後半、顔の見えない、したがって正体もわからなかった謎のライバルの正体が明らかになります。
すごく夢中になって読みました。
あぁ、楽しかった☆
映画だけでなく、この本は父親と娘の物語でもあります。
親子で同じ趣味なんて……ケンカが増えそう(苦笑)
家で借りてきたDVDを見る映画鑑賞もいいですが、やっぱり映画館で、大勢の見知らぬ人たちと一緒に、暗闇の中に映し出される映画を観る。
あの感覚には何ともいえないものがありますね♪
同じ時間と感情を共有する、みたいな感じ☆
久しぶりに淀川長治さんの「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」という映画解説が聞きたくなってしまいました(笑)
これがわかる人って歳がバレそう♪
そういえば、以前こんなことがありましたね。
とある女性から、昨日のことについて問い詰められた時のこと、私はついこんなセリフをいってしまったのです。
「昨日? そんな昔のことは忘れたな」
「昨日のどこが昔なのよ!」
…ちがう、ちがう!
「カサブランカ」って映画があって、ハンフリー・ボガード演じるボギーの名セリフじゃないか!
その後、ボギーはこう続けるのさ。
「明日? そんな先のことはわからない」
「………。」
もちろん、その後空気がすっごく険悪になったのは言うまでもありません(苦笑)
ボギー。
人生って時にしょっぱいよね。