吉野せいさんの『洟をたらした神』(中央公論新社)を買いました。
一度読んだ作品なので、気に入っている箇所を拾い読みしたり、ちょっとした時間にパラパラとめくったり。
中央公論新社版の解説は、『ゲド戦記』などの翻訳で知られる清水真砂子さんが書いてみえて、これが、私にとっては嬉しいサプライズでした。
アーシュラ・K.ル=グウィンの『ゲド戦記』、大好きなんです♪
清水さんが、『ゲド戦記』の重要な登場人物、テナーが物語が進んで歳をとり、セリフまわしをどうしようかと考えた時、吉野せいさんのことが頭に浮かんだそうなんです。
『ゲド戦記』はスタジオジブリで映画化されたので、ご存知の方も多いかと思いますが、テナーは主人公ゲドが愛する女性で、顔に火傷を負った少女、テルーと共に暮らしていた女性。
原作では幼い時にゲドによって暗い地下から救い出されるのですが、その時はゲドと結ばれることはなく、田舎の村でひっそりと暮らすことを選びます。やがて成長したテナーは村の女たちと同じようにごく自然に村の男と結婚し、子供を産んで育てます。
月日が流れ、未亡人になったテナーのもとに、魔法の力を失ったゲドが運ばれて来ると、そこでやっとお互いの気持ちを確かめ合い、ようやく夫婦になるのです。
清水さんが迷っていたのは、この子供を育て上げ、未亡人となり、かつて愛した男を迎え入れる中年を過ぎた年代のテナー。
まさかここでル=グウィンと吉野せいがつながるとは思っていませんでした!!
そうか、だからどっちの作品も大好きなんだ!
と一人で納得。
他人にはあまり共感してもらえないだろうなぁ(苦笑)
でも私の中では嬉しい驚きでした。
解説を読みながら、一人でウキウキしてしまいました☆
誰にもわかってもらえなくてかまわない。
他人にはまったく意味のないことでも、私にとってはとっても意味のあることなんです。
あー楽しい!
ほらね。ホークさんが本を読むと、私も感心できる。
本の輪は水上の波紋のように無限に広がりますね。
姪たちにも、知り合いにも本をプレゼントいています。
吉野せいさんが、テナーのセリフ回しに繋がるとは思いませんでした。
私も春庭さんのブログを読んでは、いつも知らないことを教えてもらったり、時に笑わせてもらったり、感心したり驚いたり、たくさん刺激をもらっています。
この『洟をたらした神』を読んだきっかけも春庭さんでした。
波紋は広がっていきますね。
楽しい連鎖です。
ナタリーさん、「ゲド戦記」をプレゼントするなんて、よっぽどお気に入りなんですね♪
私も大好きな作品なので嬉しいです!
土と共に生き、その土地の人間として暮らす。
確かにテナーと吉野せいには共通するところがあるような気がします。
二人には長年の風雪に耐えてきた強さを感じるんですよね。
楽しい発見でした♪