私的図書館

本好き人の365日

「親愛なる物語」

2003-09-15 11:33:00 | 日々の出来事
家庭小説というジャンルがあります。

「赤毛のアン」や「あしながおじさん」
「若草物語」などがこのジャンルに入るのですが、特徴は、細やかな日常生活の描写に、例外なく健気で勇敢な子供達☆

特に服装と食べ物については、これほど思い入れのある書かれ方をされている小説群は他に例がないでしょう。

まずは服装。
よくでてくるモスリンにギンガムの服。
落ち着いた感じの薄緑色のボイルのドレスに、オーガンジーのドレス。
「赤毛のアン」でマシュウがアンのために頼んだ”袖のふくらんだ服”はグロリア絹地。

新しい服がないばっかりに礼拝式を欠席すると言い出すエルノラ。

少ない手間賃で安いキャラコを買い、なんとかシュミーズをしたてるペリーヌ。

服装にはみんなめいいっぱい気を使ってる。

正直、女の子の服に対する関心の深さは男性の及びもつかない世界らしい。
「あしながおじさん」のジュディーが、手紙の中でこう告げます。

「男の人って、なんてまあ、殺風景な一生を送らなくちゃならないのかしら」

人生の困難に果敢に立ち向かう彼女達が、服のことで悩みまくる姿はとってもかわいくうつります☆

こうした家庭小説の魅力を私に教えてくれた本があります。
氷室冴子さんの家庭小説入門エッセイ『マイ・ディア~親愛なる物語~』です。
もうこうした物語の魅力がいっぱい♪

食べ物だって、
定番のメイプル・シロップに糖蜜のキャンディー。
プラム・プディングに「こけもも」のパイ。
秘伝のパウンド・ケーキにブラマンジェ。
小鳩のローストにラズベリージャム。
クリームの浮いた新鮮な牛乳にイチゴの砂糖漬け。

もう、読んでるだけでお腹が空いてきそう♪

いえいえ、決して食べ物のことばかり書かれているわけじゃありませんよ(笑)

しかし、食事こそが家庭の主婦にとっての一大事。
そして、人生最大の喜びでしょう?

私もアップル・パイが大好物!

毎年、我が家のささやかな果樹園のリンゴが色付くのがとっても楽しみなんです☆

そうそう、よくわからずに読んでいた「キンガムの服」がコットン織りのことだということを初めて知ったのもこの本からでした。

これで少しは”殺風景な一生”に彩りを加えられたかな(笑)







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