私が住んでいる地方でもこの冬はじめての本格的な雪が降りました。
カーテンを開けると一面の銀世界!
雪が降るとテンションが上がります♪
車の運転をなさる方はお気を付け下さい。
最近、ちょっと体調を崩して会社を休んだりしていたのですが、このところ何とか回復して来ています。
何もかもが灰色に見えていた世界も、ちょっと回復しだして食事がおいしく食べられるようになると「別にそこまで深刻に考えることもないな」と、あっけなく色付いて元の世界に戻るのだから人間って現金なものです☆
あ~、ラーメンがおいしい♪
会社を休んでいる間も、復帰した後も、ずっと読んでいたのが梨木香歩さんの小説、
『沼地のある森を抜けて』(新潮文庫)
ぬか床の中から人間が生まれてくる!?
もう読み出したら他の事が手に付かなくて、没頭してしまいました。
曾祖父母が故郷の島を駆け落ちした時に持ち出したという、いわく付きの「ぬか床」
代々の女たちの手で毎日かき混ぜられ、台所でひっそりと引き継がれて来たその「ぬか床」が、母親や叔母の手を巡って、回り回って長女の長女である独身の主人公の元に引き取られます(母親は三姉妹の長女)。
初めは面倒臭がっていた主人公ですが、ちょうど新しいアパートを探す必要があったこともあり、その「ぬか床」を持っていた叔母が住んでいたマンションをもらえると聞いて、交換条件のように引き取ることを承知します。
しかし、その「ぬか床」がただ者じゃなかった。
朝と晩の2回、毎日ぬか床はかき混ぜないといけない。
化学メーカーに勤める主人公は、とりあえずキュウリやナスを漬けてみますが、これがなかなか美味しくて、職場でも好評。
化学メーカー勤務らしく、酵母とか乳酸菌とか微生物といった言葉が出て来ます。
ぬか床に釘などの金属を入れて置くと、ナスのアントシアンと結合して、安定した青紫の塩類を作るそうです。
その他には明礬(みょうばん)なんかを入れたりしますね。
ところが、毎日「ぬか床」の世話をしているうちに、手に何かが触る感触が…
…卵がある。
「ぬか床」が産んだ(?)卵から出て来た不思議な人たちとの奇妙な共同生活!!
梨木香歩さんの作品は好きなので、新作を見つけるたびに読んでしまうのですが、このお話にはのっけからやられました。
代々の女たちが朝に夕に繰り返して来たぬか床をかき混ぜるという行為に、伝えるもの、引き継ぐもの、食べる、命、果ては生命の根源といった意味まで彷彿とさせて、生と死についての物語が読めるようになっています。
物語のほとんどと、間に挿入される「寓話」のような「シマの話」も好きなのですが、主人公が「ぬか床」の故郷の島に渡るラストはちょっと不満足。
書きすぎじゃない?
そこがインパクトがあるのかな?
(あくまで個人的な感想です)
ただ、「ぬか床」に染み付いた女たちの情念とか、いやらしさとか、涙や強さとか、女性って怖いなって思いました(苦笑)
男は物語の中で秘密基地を作ったりしてますからね(いい年をしたおっさんが)☆
原初の地球。
まだ世界にたった一人で孤独を感じていた最初の細胞。
ただ分裂して自分を増やすだけだった彼女が、自分とちょっとだけ違う相手を見つけた時、彼女は、話しかけたようとしたのではないか…
分裂ではない、融合と結合という形で…
常に様々な立場と視点から物事を捉えることの出来る作者らしい「愛」の物語…なのかな?
でもまさか、細菌や酵母の立場から愛を語られるとは思わなかった(苦笑)
うちには代々引き継がれているぬか床なんて無くてホント、幸いでした。
…アレ?
…無い…よね?
そういえば、実家の台所の床下収納、開けたこと無い…
知らないだけだったりして!?
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