Il film del sogno

現実逃避の夢日記

ミックマック/名前のない女たち

2010-09-06 02:20:00 | 日記
9/5(日)晴れ
8:30起床。定番の朝食を作って孤食。ジムで遠泳。休日・午前中のプールは年寄りばかりなり。午後は恵比寿へ出張る。ジャン=ピエール・ジュネの新作は都内単館上映である。題名は混乱であるとか悪企みと云う意味があるそうな。まぁ、単に【いたずら】としたいですね。偶然遭遇した発砲事件で頭に銃弾が入ったままの男が軍需企業相手にハミ出し者の仲間と復讐を果たすお話。特殊技能を備えたメンバーとその奇抜な奇襲方法が素晴らしい。レトロな道具で洒落が効いていて思わずニンマリ。ロケーションとプロダクションデザイン(色彩感覚や衣裳・小道具)がいかにもジュネ調。独特のカット割りとカメラアングルも通好み。【デリカ・テッセン】【ロスト・チルドレン】そして【アメリ】を撮った監督の快作である。終わって夜まで恵比寿・新宿を徘徊。通りかかったテアトルで気になる題名にひかれた邦画をレイト鑑賞。と、ここで少し懐古譚。10年程前に池袋のサンシャイン通りにあるファストフードの窓越しから、ロケ隊の撮影現場を見物した事がある。役者は観た事もない若い男女で、どっかの大学の映研サークルかな、と呟くと、同席していた年下の友人(性風俗関係全般に異常に詳しい20代の男性)が、『あれぇ~、小室友里に似てんなぁ』『誰、それ?』『AV女優』『なーんだ、じゃあアダルト?』てな会話をした。似てるも何も御当人だったのが解ったのは、ほどなく中野の武蔵野ホールで『Pain/ペイン』というインデペンデント映画を鑑賞したから。映画は時代を映す鏡でもある。援助交際が問題になった頃も『バウンスkoGALS』や『ラブ&ポップ』でお勉強させて頂きましたが、すれっからしのわたくしには『バウンス~』は90年代の『祭りの準備』、『ラブ~』は平凡な女の子の一夜限りの冒険譚として見た。『ペイン』は確か都会に出て彷徨う若いカップルを描き、男はAVのスカウトマンに、女もパー券売りの少女の手引きによって自身の肢体を商品化する・・てなストーリーだったと記憶する。いつの時代にも闇の社会に浮き草のように生きる男女の変身譚はある。さて長い思い出にふけってしまったが本作。平凡なOLが【企画モノ】と称すAVジャンルに出演してあれありこれありというプロット。主演女優(新人とクレジットにあり)はそれこそ体当たりの熱演だが癖のある脇役陣と比べるとやはり演技は稚拙なり。しかし危うくやるせないヒロインのトロ臭い表情が劇的に変っていく姿をカメラは冷酷に追い続けていた。これはプロの仕事でありましょう。描かれる夥しいエピソードや人物造形はきっと限りなく真実なんでありましょう。(原作は業界女優達へのインタビュー集とのこと)客席は若年層中心に2割に満たぬ閑散としたもの。しかし、単身の二十歳前後の婦女子もいた。そこらの普通の娘さん(それは我々の姉妹、同級生、娘、孫かも知れぬ)が大股広げる映像がある日突然流通される・・・そんな時代に生き、彼らの変化をどう読み込み咀嚼するのか。エンドロールに流れる≪バージンブルース≫には苦笑した。オリジナルは70年代に作家・野坂昭如が唄った異色歌謡。帰って調べたら戸川純がリメイクしてるんですね。そういえば藤田敏八が秋吉久美子で撮ってる。ああ長く生きていると引き出しはそれなりに増える。懐かしいことばかり思い出させてくれた不思議な一夜。
コメント
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