上野:東京都美術館。先週の土曜日の午後に行った。
展示作品273点!地中海の四千年を語ろうとする壮大な展示会だ。
時間的には紀元前1,500年から西暦1,900年まで。
文明的には、フェニキア文明、エジプト文明、ギリシア文明から、ローマやカルタゴ、十字軍やレコンキスタ、ルネサンス、ビザンチンから、流行したらしい近代のセレブの息子の旅行まで。
展示物も一番遠いのは、ノルウェーで発掘されたものまで・・・。
世界史の、アジアと新大陸発見を抜いた、莫大な歴史を何とか展示しようという・・・。真剣に観ると、膨大な時間と地理的な広さで途中で気持ち悪くなってくる。
エジプトを征服した後に、ローマ風にアレンジされたイシス神の像なんて、音声ガイドを聞いていたからその背景が分かったが、音声ガイドがなかったら・・・。分からないじゃん。
雄牛に変身して、王女エウロペを略奪するゼウスが、時代を越えて繰り返し作品の題材にされてるんだが、これだけに注目しても、ちょっとした展示会が開けるなあ。
あと、展示方法も問題ありで、観ている人がジャンプしている所に行ってみたら、杯の内部の絵の説明がしてあるのに、その杯が高めに展示しているからだった。私も跳んでみたが、見えなかった。
逆に、器の底に近い外側の絵の解説があるのに、思いっきりその器は低い位置に展示してあって、しゃがみ込んでも見えなかった。ワザとかな?
メインの、「アルテミス:信望者たちから贈られたマントを留める狩りの女神、通称ギャビーのディアナ」は、均整が取れてて素晴らしかった。360度、回って観られるんだが、どこから見ても完璧。
紀元前4世紀の作品を100年頃に模刻したものなんだって。3Dプリンターのある現代でも、負けるんじゃない? 大理石を彫る技術もすごいもん。本当に2,000年もたってるのかな?
「清楚な容貌と肩に手をやる自然なたたずまいが美しいこの彫像は、ギリシア風の短い衣装などから、狩りの女神アルテミスとされています。18世紀、スコットランドの画家ハミルトンが、ローマ近郊ギャビーで発掘しました。紀元前4世紀の名高い彫刻家プラクシテレスの様式を汲む作品の、ローマ時代の貴重な模刻です。1808年にルーヴルに収蔵されて以来、初めて館外に出品されます。もちろん、日本初公開となる、ルーヴルの傑作のひとつです。」
確かに、どこも欠けず、完璧に残っていて、ここまで美しいのは傑作だ。この作品メインならもっと、ギリシャとローマ文明に絞った方が良かったんじゃないかな。