続き
で、その読書感想文ですが、前回書きました「小公女」。
これが実に素晴らしい作品で、作者はバーネット。
20数年前に、日曜夜のアニメ枠で1年間高視聴率を取った作品でもあります。
読書感想文を書くのが苦手←普段本を読まない という図式が成り立つ子の場合、ともすれば安直な手段でこれを処理してしまいがちです。
例えば、大した苦労もせずに簡単に読めてしまえる類の軽い本などをパラパラとめくって済ませ、誰でも書けるような平坦きわまる感想文を書く。
これでは、折角の「強制的な読書の機会」をどぶに捨てるようなおのでしかなく、勿体無いことはなはだしいと私は思います。
ですから、こういう時の私は、なるべく今時間があるときしか読めない重厚な作品を勧めることにしています。
これまでで一番長いものとしては、吉村昭さんの「ふぉんしいほるとの娘」がありました。
文庫本で上下合わせて1000ページ以上はあったと思いますが、途中で へこたれそうになりながらも、最後まで読みきった子が書いた感想文は、それだけで自動的に中身の濃いものにしあがりました。
今回「小公女」を勧めてみたのは、相手が女の子であり、しかも例にもれず「普段あまり本を読まない」という、いわば本に対する先入観が無い子でしたので、心に染み入るようなストーリーで、尚且つ主人公の女の子(セーラ)が酷い苦労の後、最後は幸せを掴むことと、一方セーラを苛め抜いたミンチン先生に対しては、最後で日本人が好む勧善懲悪的な締めくくりであったことが主な理由でした。
で、狙い(というような計画性はなかったのですが)、は見事に当たり、これを読んだ子のしなやかで優しい心に、このセーラの姿がくっきりと焼き付けられた観があって、これに関する文章を書いただけではなく、この子自身「もっと詳しく読んで みたい」という、読書それ自体に対する関心まで大きく刺激したことが、私には何より嬉しかったというわけです。