駅頭で、かつての塾生とばったりあいました。
当時高一だった彼は、事ある毎に母親による言葉の暴力を受けていて、教室では大抵暗い顔をしていました。
そのお母さんは私達(塾サイド)には「子供が分からないと言って、だから教えて欲しいというところは教えてあげてください」と言うのですが、これが少し怪しくて、彼は文系科目が苦手だったのですが、あれもこれも授業をとるわけにもいかず、平素は理系科目、テスト前だけ文系科目を入れるというイレギュラーの組み方をして、いわば綱渡りをしていました。
因みにここでは書きたい事の趣旨が違いますので詳しくは書きませんが、高校生の授業で、且つ評定でそれなりのレベル以上を要求し、更にその延長上に偏差値65の大学への学内推薦を狙うなら、実際のところ、この勉強の仕方は全くといって良い程ボリュームが足りません。
ある時、彼がおずおずと「古典と政治・経済を教えてください。但しテスト対策で」と言ってきました。
私が「その事をお母さんは知ってるの?知らないなら一応電話ででも承認をもらったら?」と言い、彼がそのようにすると、その時受話器から漏れてきたのは金切り声の酷い言葉で彼を罵るサマでした。そこには、「子供が教えてくださいと言うものを教えてください」といった、嘗てのセリフなど微塵もありませんでした。
まもなく彼と教室との縁は切れましたが、駅頭で見た久しぶりの彼の顔は相変わらずの暗い感じだったのが少し気になりました。