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東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

下刈り最盛期がやってくる

2006年07月02日 | 林業
この時期、結構手間のかかる仕事が待っている。「下刈り」または「下草刈り」とも言いう、6月~8月の間は杉の植林地の重要な手入れを行う仕事だ。スギの木は植林してから最低でも40年での伐採、現在では60~80年での長期伐期が一般的になっている。ただ植林してから10年間は大変に手のかかる時期で、雨が多くまた日ざしの強い時期には下草が一斉に伸びてしまい、成長の遅い杉の幼木は日光を浴びる事が出来ない。その為年に1回は下刈り機で刈り払う必要がある。

 しかしこの時期の下刈りは炎天下しかも急斜面での作業が多く、かなりの重労働で高齢者の作業はかなりの負担となる。最近は主伐(スギの木を伐採して出荷すること)した後は植林することも少なく、そのまま放置されて薮山になっている所が多く、杉の木を改めて植林しようとする事も少なくなった。つまり過去2百年以上繰り返されてきた「植林」→「伐採」→「植林」という絶え間ない日本伝統の林業サイクルが断ち切られてしまった。

 7~12年前に植林した山は今でも手のかかる時期だが、放置する気にもなれないので毎年のこの時期は毎週のように通い詰める羽目になる。今すぐ現金収入になる訳でもなく、わずかな補助金が交付される程度で旨みは無く、まあ、普通なら放置される運命だろう。

 しかし過酷な肉体労働でも、作業を終えて刈り跡を見ると気分もスッキリし、何か日ごろのストレスも解消したような気分になる。
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樹齢130年の杉

2006年06月13日 | 林業

昨年の暮れは激しく降り積もる大雪に見舞われ、田舎の山林でも被害は免れなかった。杉の枝に降り積もった雪は次第に重さを増し、落下する量より積もる量が上回るとやがて限界点に達し、杉の大木でも大きな悲鳴を上げて倒れてしまう。いわゆる「雪折れ」と言うやつだが、これには幹の上部で折れる場合と根元から倒れる2つのパターンが有る。

今回は20本くらい折れているのが見られたが、その中には年輪を数えてみると樹齢130年と言う、幹に節も殆どないきわめて良質な木があった。この木は130年前に植林した木で、古くなった木に見られるようなひび割れとか腐食が見られず、年輪の詰まったきわめて良質な物だった。

すっかり作業道を塞いで車の通行が出来ない為、いつも頼んでいる木材業者に頼んで伐採・搬出を依頼し売却した。しかしこの「雪折れ材」と言うやつはいつも買い叩かれるのが常で、根元から倒れて殆ど傷が付いていないにも関わらず値段は安く、3分の1以下の値段で引き取られてゆく。つまり商品価値が低いと見られると共に、伐採・搬出費用を差し引くと、素材生産者には殆ど賭けが残らないと言う構図なのだ。物によっては引取りを拒否される事も有り、ここに林業が産業として成り立たなくなった現実が有る。

しかし130年前の人がどんな苦労をして、またどのような未来を夢見て手入れを続けたかを考えると、実に考え深い思いが有る。今や現地まで車で10分、歩いて5mで済むものが、かつては山道の往復だけでも2時間あまりはかかる。植林してから杉立て、下刈り、除伐、間伐、枝打ちを繰り返し、気の遠くなる様な努力と忍耐を経てここまでたどり着く事が出来る。当然こういう木は高値で取引されるはずだったが・・・・。しかしこうして市場に流通するのは恵まれた杉の木で、4~50年くらい前に拡大造林された林は手入れも殆どされず、過密で細々とやせ細ったモヤシのような木が多い。

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杉立て

2006年06月11日 | 林業

林業(山仕事)というとどういうイメージでしょうか?チェンソーで大きなエンジンの音を立てながら、杉や檜などの大木をばっり切り倒す光景でしょうか?
しかし自分の係っているのはこれとは違う。林業用語で「育林」と呼ばれる仕事で、杉の木を植林した後に下刈り、除伐、間伐、枝打ちをしながら、商品価値の有る木に育つまで面倒を見る作業の事を言う。

その中で積雪地帯特有の仕事に「杉立て」とう作業が有る。植林してからの3~10年め位の間、杉の幼木は雪の重さで押し倒されてしまい、5月頃から縄など引っ張ってまっすぐ立て直すことが必要になる。かなり地味な作業で手間ひまのかかる作業だが、5~6月はこれに追われる様な日々となる。

今時杉を伐採した後にもう一度植林する人など稀だが、植林~伐採~植林という60年くらいのサイクルを維持しようとすると、この「杉立て」も雪国では必要不可欠な作業となる。しかも今すぐ収入に直結することは無く、ようやく5~60年後に伐採して初めて現金収入となる気の遠い話なのです。普通ならば伐採した後はコストのかかる植林などせず、そのまま放置してしまうのが一般的。

殆ど金にならない仕事でめいってしまう事も有るが、このまま放置する事も忍びず、出来る範囲の手入れだけはやっておきたいというのが現状。
でも、すっかり立ち直った杉の木を見ると気分もすっきりし、雪にも負けず力強く成長してくれと思うものです。



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枝打ち機

2006年03月12日 | 林業
今日は天候が今ひとつぱっとしないので、山は諦め南陽の山林へ枝打ちに出かけた。12年前に減反で田んぼを潰しその後にスギ苗を植林したが、枝が張ってきたので今2回目の枝打ちが必要となった。
枝打ちは一般的に3月頃に行われるがそれには理由が有る。一つは枝を打つ事で杉の木に傷を付けてしまうが、この時期なら病原菌や害虫が入る心配が無いため。二つ目は締まった雪で歩き易く、積雪が適度にあって高い枝でもハシゴ無しに落とせる事。
今日はエンジン付きでポール付きの「枝打ち機」を使ったが、重さが5kgくらい有るので上向き作業は結構疲れる。久しぶりに輪かんじきを使って作業したが、ポール付きのノコギリの方が疲れず使い勝手はよい。
上向き作業は楽ではないが、すっかり枝を落としてすっきりとした山林を見ると気分はすっきりする。結構ストレス解消にも良い様です。

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杉の木の濡れ衣

2006年02月04日 | 林業

今年の低温の日々は2月には入っても変わらない様子で、仙台の街中の雪もいったん積もるとなかなか解けず、特に東西の路地などはいつまで経ってもアイススケートリンク状態になっている。4~5年前も同じような状況だったが、山スキーをやっているはずの自分でもどういう訳か街中の方が寒く感じる時がある。

こんな市民には迷惑な天候だが、今年は一つだけ良いことがあるらしい。それはスギ花粉の飛散が昨年の1/10。過去10年の平均の50%以下という事で、アレルギー体質の方々にとっては大変な朗報。だが油断は禁物。昨年は花粉が猛烈に飛散した結果、症状の出なかった人でも個人の許容量一杯になって花粉症予備軍になっている人も多いと思われる。

自分は杉の木に囲まれたかなり田舎で育ったが、幸い今のところ花粉症の症状が出た事はなく、本当の苦しみと言うのは解らない。その当事者にとっては杉花粉の元、杉の木こそ諸悪の根源と考えている方も少なくないだろう。

しかし、今年朝日連邦の大井沢のある実業家の方の意見を聞いてから、自分の見方は少し違ってきた。その方がいわく、スギ花粉は体内に入ると確かにアレルギー体質の人は激しく反応するが、その現象そのものは根本的な原因ではないと言う。その原因とはアレルギー体質となった元の物質、それは水道水に含まれる塩素に有ると言う。

これはつまり日常我々が飲み続けている塩素は、直接的な害は及ぼさないが微生物などの殺菌力は有り、少しづつ人間の体内に蓄積されるとアレルギー体質となる人がいるいう。例えば飲んだときだけでなく、入浴、シャワーの時に暖められて発散する塩素、皮膚に直接触れることによる影響など、普段気がつかない所で体は塩素を吸収しているらしい。

この塩素の投入の現場は見たことがないが、浄水場などでは水の汚れ具合、気温などによってその投入量は日々変化するらしいが、実は問題点が一つある。塩素の投入量は下限が決まっているだけで、上限は決まっていないらしい。つまり浄水場から長い経路を経て家庭の蛇口に到達したとき、その含まれる残留塩素量の最低ラインが決められている。

我が国の水道水は、水道法により塩素または結合塩素*で消毒を行い、給水栓水での残留塩素量が遊離塩素の場合は0.1mg/l以上(結合塩素の場合は0.4mg/l以上)、ただし、病原菌による汚染の疑いがあるときや水系感染症流行時は、遊離塩素0.2mg/l以上(結合塩素の場合は1.5mg/l以上)と定められいる。

しかし浄水場から家庭まで到達する間、塩素は気化してどんどん数値は低くなります。つまりこの数値を満たす為には現実的に多量の塩素が投入されていると言うことなのです。特に水事情のよくない首都圏などではその傾向が強い。浄水場に近い家庭のほうが下流の家庭より何倍も濃度が濃いとも言われている。

そこで話を元に戻すと、花粉症の元凶は塩素であり、スギ花粉は2次的な役割を果たしているに過ぎないと言う論法なのです。確かに考えてみれば「花粉症」などと言われる様になったのは35年位前の話で、その当時、杉の木に囲まれて生活する人はまったく見られなかったし、今でも家庭で湧き水を飲料としているような山間部の人は花粉症とは無縁である。そうかと思えば最近は動物園のサルに人間様と同じ花粉患者?がいるらしい。

ただこの説は科学的に解明されたわけではなく、単なる推論に過ぎないのだろうが、私の立場としてはどうしても援護したくなるのです。いつか必ずスギ花粉の濡れ衣を晴らしたいと思っていますが・・・。
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鬱陶しい蔵王西面の密林

2006年01月31日 | 林業
               水引入道の密林地帯を行く

 最近は蔵王周辺のワンパターン山行が続いている。この時期あまり好天の期待が出来ない蔵王連邦は2回に1回くらいは敗退が当たり前で、ギブアップしてスキー場のレストハウスの片隅でカンビールを呑んでいるなどという日もたまに有る。その点今シーズンの年明け以降は意外と好天に恵まれ、今年になってからは2勝1敗とまあ調子は良い。

しかしいつも思うのだがこの蔵王連邦下部の密林は何なのか?これさえ無ければ山スキーはもっと快適で、もっと大々的に全国的に売り出しても良いと思うのだが。蔵王連邦の西面は標高800~1200mの辺りでは意外と積雪は少なく、潅木が雪に覆われる事もあまり無くて鬱陶しい事とが原因だ。しかしかつて植林されたカラ松林が点在している事も関連がある様だ。

最近、林業に従事する知人に聞いた話によると、以前ブナ林が伐採された後標高の低いところでは多量の杉の木が植林されたが、標高の高い所にはカラ松が植林された。しかしこのカラ松は30年以上は経っていると思われるが細く、ひどく貧弱で建築の用材にはなりそうも無い代物。それはそのはずで、北海道、長野辺りのカラ松と違って植林されてからはまったく手入れがなされず、そのまま放置されている。

その理由はカラ松が最初から商品価値を期待されず、最初から放置される運命にあったのだ。つまり、戦後の植林事業の拡大から多くの補助金が交付され、とにかく植えれば植えるほど潤うという時代が有り、杉、檜、カラ松が無計画に植林されていった。今となってはその無計画なツケが廻って来て、手入れのされない杉林だらけになってしまい、スギ花粉問題と絡んで今や社会問題化している。

実はこのカラマツは単なるリリーフの存在で、植林されてからまもなくは元気が良いが、下層林のミズナラやブナが次第に成長して来ると精力を失い、やがて50年もすると枯れてしまって広葉樹に明け渡す存在なのである。つまりカラ松は痩せた土地でこそ成長するが、ミズナラやブナの葉っぱが堆積して土地が肥えてくると、彼らに負けて成長が止まりやがて枯れて行くのである。

人間様にとってはまったく手がかからず、補助金目当ての伐採計画にはもってこいの方法だったのかも知れない。今から思えばこの位の標高では豊かなブナ林を残して欲しかったが、今となっては山スキーヤーにも嫌われる鬱陶しい存在でしかない。


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