雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森77 金子一也『チャイココンクール神話の終焉』

2010年09月09日 04時43分30秒 | 本と映像の森
本と映像の森77 金子一也さん著『チャイコフスキー・コンクール 神話の終焉』早稲田出版、2004年9月23日第1刷、251ページ、定価1700円+消費税

 図書館の音楽コーナーを見ていたら、あったので、借りてきました。音楽コーナーよりは「ニセ社会主義ソ連の崩壊」コーナーの方が合っていると思いました。
 すくなくとも、音楽や音楽家の問題ではなくて、政治や政治家の問題です。
 音楽家いわく「私になんの問題があるだろう」
 
 目次を書けば、内容がわかるので書いておきます。

 第1章 「奴隷」契約で幕を閉じたコンクール第12回
 第2章 レーニン生誕記念日だったチャイコフスキー・コンクールの起源
 第3章 伏魔殿コンクールを構成する権力と金
 第4章 東西冷戦が華を添えた第1回チャイコフスキー・コンクール
 第5章 表層だけの雪どけだった第2回
 第6章 停滞の時代 第3回~第7回
 第7章 崩壊したソ連・ロシアと第8~11回

 「権力(ソ連時代)と金(ソ連崩壊後のロシア時代)にまみれた」という規定に賛同します。
 
 一例として、1930年代から活躍したヴァイオリニスト・オイストラフは、音楽でソ連国家に功績があったとしてスターリンから自宅をみおらいます。
 しかし、オイストラフは、ユダヤ系であり、つねに国家権力による逮捕におびえる生活が続いていました。
 オイストラフによれば、1937年から1938年に自宅周辺で、逮捕連行されなかった家は、2~3軒だけだったそうです。
 もちろん、逮捕連行された人たちは、ソルジェニチンのいう「強制収容所」で労働を死ぬまで強制されて、二度と戻ってきませんでした。

 やはり「ナチス・ドイツ」の体制=「ニセ社会主義ソ連」と一致するんですね。

 この権力で人間を変質させた体制が、こんどはお金で人間を変質させる体制となるルポルタージュが、リアルですごいです。

 それに日本人もからんでいることも、衝撃ですね。
 この続編を読みたいです。

 浜松のピアノコンクール(中村紘子さんが委員長だと思いますが)に関連して、数年前に、「どうしてあの子(中村紘子さんの弟子)が入省なの?」という疑惑を直接、受けたことがありますので、興味があります。
 たぶん、いろんな動機・モチーフがあるのでしょうが。

 もっと勉強して、音楽も聴いて、解明したいです。