雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森86 ル=グウィン『ゲド戦記6アースシーの風』

2010年09月24日 04時48分34秒 | 本と映像の森
本と映像の森86 ル=グウィン『ゲド戦記6アースシーの風』岩波少年文庫593、2009年3月17日第1刷、小B6版、386ページ、定価760円+消費税

 原題(英語)は「THE OTHER WIND」、つまり「他の風」です。

 アースシーシリーズの今のところ、最終巻です。
 訳者の清水さんは「アースシー」をカタカナのママにしていますが、もし雨宮が訳するとすれば「アース」+「シー」ですから、「大地海」か「地球海」でしょうか。

 物語は、直接には「第4巻 帰還」の続編として始まります。直接には、というのは「帰還」との間に、ロークの学院にいく少女「トンボ(英語でドラゴンフライ=竜が飛ぶ)」がはさまるからです。

 ゴント島で隠棲している昔の大賢人・ハイタカのもとへ、ロークを経て一人の男ハンノキがやってきます。
 ハンノキは、死んでしまった恋人ユリに、夢の中で呼ばれて、ハイタカやレバンネンが訪れたあの死者のいく霊の土地へ呼ばれて「わたしを自由にして」と懇願されます。

 このハンノキの悩み・願いがアースシー世界の危機と深く関連しているような感じで、物語が進行していきます。

 「ゲド戦記」のおもしろさは、誰か「名探偵」や「大魔法使い」や「水戸黄門」さまが、1時間番組の最後の10分間であざやかに解決するのではなくて、とくに第6巻では顕著なのは、みんなで悩み、みんなで対等平等に対話して、問題の焦点に少しづつ、近づいていくことです。

 この第6巻は、どの巻よりも「恋物語」です。

 もちろん、ゴント島に居残っているゲドと、遠くで渦の中心に座っているテナーとの恋。
 物語の主軸を貫いている、ハンノキとユリの恋。
 そして、レバンネン王子と、異民族の王女セセラクの恋。
 それから…ああ、これは物語を読んで下さいね。

 物語の主題は、生と死、死んだらあなたはどこにいく?でしょうか、それと自由。
 神のごとき竜と、人間と、動物たち。
 竜は、死んだらどこにいくの? 
 動物たちは死んだらどこにいくの?
 
 あるいは、他のところに行く自由はあるの?

 そういう主題を、レバンネンは、自らの責任として引き受け、偶然か必然か。集まったメンバーを引き連れて、ロークの学院へ乗り込みます。

 あなたは何を求めますか?
 命を長らえること?
 (アイザック・アシモフさんの傑作SF「永遠の終わり」を思い出しました。
  「永遠は終わり、無限が始まる」と)
 大地の一部になること?

 ここで「模範解答」を書いても意味がないですね。
 1ページから読んで、最終ページまで、自分で納得してみてください。

 自分の回答は、また書きたいと思います。
 生と死、宗教と天国・地獄の問題も含めて。
 
 ほんとうは「第7巻」を書いて欲しいですね。
 それは314ページのセセラクのことばにあります。

 「あなたの…ええと小さい王たち?…ちがう、息子たち!そう、その息子が竜になり、竜の王さまになりましょうにって。これでいい?」
 「レバンネンは前夜の雷に今になって打たれでもしたように、ひとりいつまでもたたずんでいた。」

 もちろん、レバンネンとセセラクの息子たちが竜になり、竜の王さまになる話です。たぶん、この瞬間が、ムダな抵抗をするレバンネンが、セセラクを妻にする決断をした瞬間だと思います。
 違うかな?

 レバンネンとセセラクの息子たちの話、読みたいです!
 もちろん、長寿の竜たち、アイリアンやテハヌーも出てくるに決まっています!
 ル=グウィンさん、お願いします!書いてください。


 

本と映像の森85 9月27日からNHK教育「4日で資本論」

2010年09月24日 04時37分49秒 | 本と映像の森
本と映像の森85 9月27日(月)からNHK教育「4日で資本論」

 映像と言っても、これはこれから放映されるテレビ番組の紹介です。偶然、昨夜(コノハナノサクヤヒメ)見つけました。

 NHK教育テレビで9月27日から30日まで4日間、午後10時25分から50分。

 番組タイトルは「一週間de資本論」ですが、実際は4日間ですので「4日で資本論」です。

 メインコメンテーターは的場昭弘さんです。最近『新訳 共産党宣言』を出した『超訳「資本論」』などの著者です。

 推薦ではありません。見てみないと、推薦できませんから。ただ、NHK「教育」テレビで「資本論」というのは珍しいと思います。

 「資本論」に関心のある皆さんは、自分で4日間見て、いいか悪いか判断した方がいいのではないかと、紹介しました。