本と映像の森 194 野尻抱介さん著『南極点のピアピア動画』<ハヤカワ文庫JA>、早川書房、2012年2月25日、311ページ、定価620円+消費税
発売日が2月25日の本を紹介って、早いですよね。実は、2月末に注文した本を本屋さんに取りに行って、そのお店をぶらっと見回って発見した本です。
「本と映像の森 174 野尻抱介さん「歌う潜水艦とピアピア動画」」(2011年09月26日 05時27分52秒 | 本と映像の森)で紹介した作品のシリーズ4点が一気に読めます。
1
第1作「南極点のピアピア動画」は、日本の月探査機計画の一員・大学院生の蓮見省一さんと恋人の奈美さん、省一さんの友人で自己増殖ロボットの開発をしている川瀬郁夫さんの3人が主人公です。
時代は近未来、月探査計画が月にクロムウェル・サドラー彗星が衝突したために月の空が晴れるまで当分停止、という状態で恋人にも逃げられた蓮見省一さんを主人公に、彗星の月への衝突で生じた粒子の流れを利用した宇宙旅行計画に応募することから始まります。
つまり南極からロケットを打ち上げて2人乗りの飛行船がその流れに乗るわけです。
省一さんはそのプランを、現実に存在する「ニコニコ動画」をモデルにした「ピアピア動画」にアップして、一気にファンを獲得、現実化していきます。
そして「ニコニコ動画」のなかの仮想少女歌手「初音ミク」をモデルにしたボーカロイド「小隅レイ」さまが、もう一人の主人公です。
省一さんは、宇宙にいけるのか?それも、奈美さんといっしょにいけるのか?
2
2作目は「コンビニエンスなピアピア動画」。「ハミングマート二本木店」に勤務する上田美保さんが主人公です。「ハミマ」は国内に9000店あります。
美保さんの勤務するお店から始まった入店チャイムと新曲PRをリンクする試みが成功して、小隅レイの新曲が大ヒットします。
その仕掛け手・ピアピア動画の桑野隆が見掛けた二本木店の蜘蛛(クモ)から宇宙計画が動き始めます。
<ネタバレ、以下、読むな>
なお、この連作では、1作目も、2作目も、4作目に至る伏線が張り巡らしてあって、1作目の「目標 自己増殖工場」も、2作目のコンビニ配送システムも、4作目で、ひとつにつながって、見事に生きています。
3
3作目の「歌う潜水艦とピアピア動画」は「本と映像の森 174」(2011年09月26日 05時27分52秒)で紹介したので省略
4
さあ「星間文明とピアピア動画」です。
3作目の直接の続編で「2月18日、午前1時、沼津沖」に浮かび上がった「船」、あきらかに「潜水艦」から、3人が上陸するところから物語は始まります。
これは、「小隅レイ」をモデルにした宇宙からの美少女「あーやきゅあ移動体」=「あーや」が人類と接触(コンタクト)し、人間たち一人ひとりに、個別に受け入れられていく物語です。
つまり「宇宙との接触」は代表者と代表者ではなくて、一人とひとり、という、これまでの「コンタクト」概念をひっくり返す画期的理論だと思います。
それと、もう一つ。野尻さんは、p278からp279で、郁夫さんと「あーや」の会話のなかで、生命体つまり生成物だけの文明、あるいはロボットか創作物だけの文明ではなく、両者が平等に入り交じって、同等の権利を持つ文明を考察しています。
つまり、アシモフさんのアイデアを借りるなら、C>Feでもなく、C<Feでもなく、C+Feです
☆
土曜の夜で、安心して酔っ払ってるので、紹介になったでしょうか。あとで見直して、気になったら修正します。
発売日が2月25日の本を紹介って、早いですよね。実は、2月末に注文した本を本屋さんに取りに行って、そのお店をぶらっと見回って発見した本です。
「本と映像の森 174 野尻抱介さん「歌う潜水艦とピアピア動画」」(2011年09月26日 05時27分52秒 | 本と映像の森)で紹介した作品のシリーズ4点が一気に読めます。
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第1作「南極点のピアピア動画」は、日本の月探査機計画の一員・大学院生の蓮見省一さんと恋人の奈美さん、省一さんの友人で自己増殖ロボットの開発をしている川瀬郁夫さんの3人が主人公です。
時代は近未来、月探査計画が月にクロムウェル・サドラー彗星が衝突したために月の空が晴れるまで当分停止、という状態で恋人にも逃げられた蓮見省一さんを主人公に、彗星の月への衝突で生じた粒子の流れを利用した宇宙旅行計画に応募することから始まります。
つまり南極からロケットを打ち上げて2人乗りの飛行船がその流れに乗るわけです。
省一さんはそのプランを、現実に存在する「ニコニコ動画」をモデルにした「ピアピア動画」にアップして、一気にファンを獲得、現実化していきます。
そして「ニコニコ動画」のなかの仮想少女歌手「初音ミク」をモデルにしたボーカロイド「小隅レイ」さまが、もう一人の主人公です。
省一さんは、宇宙にいけるのか?それも、奈美さんといっしょにいけるのか?
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2作目は「コンビニエンスなピアピア動画」。「ハミングマート二本木店」に勤務する上田美保さんが主人公です。「ハミマ」は国内に9000店あります。
美保さんの勤務するお店から始まった入店チャイムと新曲PRをリンクする試みが成功して、小隅レイの新曲が大ヒットします。
その仕掛け手・ピアピア動画の桑野隆が見掛けた二本木店の蜘蛛(クモ)から宇宙計画が動き始めます。
<ネタバレ、以下、読むな>
なお、この連作では、1作目も、2作目も、4作目に至る伏線が張り巡らしてあって、1作目の「目標 自己増殖工場」も、2作目のコンビニ配送システムも、4作目で、ひとつにつながって、見事に生きています。
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3作目の「歌う潜水艦とピアピア動画」は「本と映像の森 174」(2011年09月26日 05時27分52秒)で紹介したので省略
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さあ「星間文明とピアピア動画」です。
3作目の直接の続編で「2月18日、午前1時、沼津沖」に浮かび上がった「船」、あきらかに「潜水艦」から、3人が上陸するところから物語は始まります。
これは、「小隅レイ」をモデルにした宇宙からの美少女「あーやきゅあ移動体」=「あーや」が人類と接触(コンタクト)し、人間たち一人ひとりに、個別に受け入れられていく物語です。
つまり「宇宙との接触」は代表者と代表者ではなくて、一人とひとり、という、これまでの「コンタクト」概念をひっくり返す画期的理論だと思います。
それと、もう一つ。野尻さんは、p278からp279で、郁夫さんと「あーや」の会話のなかで、生命体つまり生成物だけの文明、あるいはロボットか創作物だけの文明ではなく、両者が平等に入り交じって、同等の権利を持つ文明を考察しています。
つまり、アシモフさんのアイデアを借りるなら、C>Feでもなく、C<Feでもなく、C+Feです
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土曜の夜で、安心して酔っ払ってるので、紹介になったでしょうか。あとで見直して、気になったら修正します。