新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

東大中村教授、アメリカへ:日本のことは若者に託す

2012-01-16 20:01:49 | 医療

こんばんは

 

昨日の疲れが出てきたのか、風邪をひきました。体調が悪く、体もだるいので今日は走るのをやめて帰ってきました。

 

しかし、Blogを書いてしまうw

今日は中村教授の記事を・・・。

拡大写真 東京大学医科学研究所の中村祐輔教授(ヒトゲゲノム解析、来4月渡米予定)インタビュー =28日午前、東京都港(瀧誠四郎撮影)(写真:産経新聞)
 国際競争力の高い医療産業の育成を目指し、昨年1月に政府主導で内閣官房に設置された医療イノベーション推進室の室長を務めていた、中村祐輔・東京大学医科学研究所教授(59)が昨年末で辞任した。数十年先を見据えた制度設計を目指そうとしたが、不安定な政権と省庁間の壁に阻まれ「無力さ」を感じた末の決断という。中村教授は抗がん剤開発などを目指し研究拠点を米国に移す。

 ヒトゲノム(全遺伝子情報)研究の第一人者である中村教授が室長を引き受けた背景には、日本の脆弱(ぜいじゃく)な医療開発基盤への強い危機感があった。

 中村教授は、新たながん治療法として世界中の注目を集めるがんペプチドワクチンの開発を日本で進めている。だが、政府は新薬開発に無関心で施策も基礎研究の担当が文部科学省、安全性は厚生労働省など所管がバラバラだ。

 中村教授は「推進室の設置は、この危機を打開し国家レベルの戦略を練る好機だと思った」と就任の経緯を話す。推進室では、各省庁をまたいでスタッフを構成。創薬支援機構創設などを政府に訴えた。

 発足3カ月目に東日本大震災が発生。中村教授は、日本の医療を進歩させる提言をまとめた。そのひとつが電子化・IT化で世界からの遅れを取り戻すためのもので、一カ所への診療情報集約だ。どの避難所に、どれだけの薬を配分すればよいかが分かる上に医療情報データも得られる。

 だが、民主党の議員らに提言を持ち込んだが、耳を傾けてくれなかった。省庁も動いてくれない。予算もつかない。「結局は霞が関や永田町は大きな視野で戦略を立てることはできない。推進室に自分は必要ない」と思ったという。

 中村教授は、今春米シカゴ大に移籍、がんワクチン療法確立に向けた研究現場に立つ。「日本での開発にこだわり、世界での競争に負けてしまえば何も患者に残せない」と話す。

 日本にとっては、貴重な研究者の頭脳流出だ。だが、日本が、がんに関する国家戦略的な取り組みをすることが、日本の誇りを示す上でも、医療経済を考える上でも最重要だと、中村教授は考えている。

 「幸い日本は基礎研究のレベルは高い。薬の実用化までの戦略・戦術がないだけ。将来の日本を担う若い力がリスクを切り開くことを望む」。そう次世代に託している。

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 ■省庁が軽視、予算権限なし、動かぬ政府

 政府は「新成長戦略」の一つとして「日本初の革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発推進」を掲げ、産官学が一体となった取り組みや、創薬ベンチャーの育成などを打ち上げてきた。しかし、思惑とは裏腹に、体制づくりは遅々として進まない。「医療イノベーション推進室」は新成長戦略の柱の一つだが、その象徴だった中村祐輔教授が辞任し、政府の思惑は“絵に描いた餅”となっている。

 問題点として多くの関係者が挙げるのが中村教授も批判した「推進室の軽視」だ。推進室に関わりを持つある官僚は「推進室には予算を含めた権限が与えられていない。予算を獲得するため、各省庁は推進室を素通りして財務省に日参する。これでは、省庁が推進室の下で縦割りを排除することはない」と話す。

 予算措置も脆弱(ぜいじゃく)だ。厚生労働省は平成24年度の概算要求で、新薬開発に必要な国際水準の臨床研究実施に際して中心的役割を担う「臨床研究中核病院」10施設の整備を求めたが、閣議決定された予算案では、半分の5拠点の整備にとどまった。

 新薬開発のポイントとなる創薬ベンチャー育成に関する各省庁の予算も事業仕分けで大幅に削減された。高い成長が期待できる研究開発の事業化を支援する官民出資の投資ファンド「産業革新機構」の、平成23年中の創薬ベンチャーに対する投資案件は1件だけだった。

 大手製薬会社で新薬開発にかかわった経験を持つ研究者の一人は、「日本の医薬品市場は年間7兆円程度と小さい。医薬品を産業と考えるなら海外マーケットを中心に考えざるを得なくなってくるが、国内の医療上のニーズとは合わなくなる」と指摘。「国民の健康を守りつつ、医薬品を産業政策の一環として扱うための視点が政府には足りないのではないか」と、国家レベルの戦略欠如を懸念している。(豊吉広英)

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 ■「医療憂う意識 共有できず」

 日本の医療に世界的な競争力を付けることを目的に立ち上がった「医療イノベーション推進室」。室長だった中村祐輔・東京大学医科学研究所教授(59)は、なぜ、辞任したのか。中村教授に聞いた。(森本充)

 --辞任を決断させたのは、何だったか

 「東日本大震災後の対応だった。日本の未来を見据えた医療システムの構築を目指し、政府に政策を提案したが、耳を傾けてもらえなかった。結局は医療の現在・将来を憂う危機意識が共有できなかった」

 --室長を引き受けられた背景は?

 「日本は医薬品や医療機器で約1兆7千億円の貿易赤字を抱え、分子標的抗がん剤は、日本製の“日の丸印”はゼロ。ペースメーカーもすべて他国製を使うなど、すさまじい遅れぶりだ。日本の経済を活性化し、医療の質を保つには、医学・医療改革が不可欠だと感じていた。こうした危機的状況を改善する絶好の機会だと思い、室長を引き受けた」

 --推進室の役割とは

 「日本発の医薬品などを生み出す司令塔の役割となる組織として期待された。産官学が一体となった『オールジャパン』体制で、研究開発の基礎から実用化まで切れ目のない研究開発費の投入や研究基盤の整備に取り組むとされた」

 --何か成果は出たのか

 「現実は何も変わらなかった。予算権限を有する各省庁が自らの方針を主張するのみで、今までの縦割り構造の流れは同じ。政権を担う民主党そのものも不統一で、話が通らなかった」

 --今春、米シカゴ大に移籍されるが

 「一刻を争う新薬開発の世界では、今のままの日本の制度や状況だと、世界的な競争に勝てず、何も患者のために残せない。自分の年齢を考えると、医療開発に対して前向きな海外を選択するのが、ベストだと思った。苦渋の選択だった」

 --日本の医学研究の問題点とは

 「知的好奇心を駆り立てるものを重要視し、社会に還元する気持ちは俗っぽいと低く評価される。本来、医学研究は困っている患者さんを助けるためにあり、自己の名誉などは二の次のはず。根本的な意識改革も必要だ」

 --日本の医療分野の将来をどうみるか

 「このままでは、日本が医療分野で欧米の植民地となるのは時間の問題だ。ただ、日本は、基礎研究レベルは高い。基礎研究を医療へとつなぐ大局的な国家戦略を策定し、それを実行できる強い政治の確立を期待する」

【用語解説】医療イノベーション推進室

 医薬品開発で欧米に後れを取りアジア諸国からも猛追される状況を打開するため、最先端の医療技術の実用化など医療分野での国際競争力を高めることを目的に、平成23年1月に内閣官房に創設された。スタッフは研究者のほか、医薬品などの産業界、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の関係省庁から横断的に集められた。有望な分野・技術に対し、集中的で切れ目のない支援を行い基礎研究を実用化につなげる狙いだった。再生医療など最先端の医療技術から、町工場のものづくりの力を生かした医療機器の開発まで多岐にわたるものを対象にする構想だった。

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体調が悪いので簡単に書きます。

 

中村教授がアメリカにわたって研究を続けられるのは、英断だと思いますし、そのほうがより多くの患者さんに貢献できると思われたのだと思います。このまま今の日本を変えようと頑張っても、変わらないまま年月が過ぎてしまい、中村教授が貢献できる時間が無くなってしまうということなのだと思います。

 

ここに書かれている「医学研究は困っている患者さんを助けるためにあり、自己の名誉などは二の次のはず。根本的な意識改革も必要」という考えは重要だと思います

 

すなわちTranslational Researchを行うということだと思います。僕も全くの同感で「患者さんに貢献できる」研究をしなければせっかく医師になったのだから…と思います。僕も患者さんに貢献で切るような、還元できるような研究をしたいと思っています。

 

しかし、中村教授がおっしゃるような日本の基礎レベルは…今の40代の先生くらいまでではないでしょうか?

僕は新臨床研修制度一年目ですが、東大や京大、九州大学など一部の大学を除いて、それほど高度な研究ができる状況ではないように思います。なぜかって、臨床がもっと重要だから。

基礎研究はやっている方々がいると思いますが、基礎と臨床の両方を行うことができる医師、両者の懸け橋となる医師がどれだけ出てくるのか

 

今後、今のままでは研究分野も臨床分野も日本のレベルは下がり、悪循環に陥るのではないかと。

 

さて、僕はどこで研究をするべきか。研究というのは、少なくとも日本の研究事情は・・・大学によって大きくできることが違ってくるからな~。今のところは母校に戻るよていですが、「まだいるの?」と言われる方々もいる。僕も考え方がいろいろと思いますが、決断というのはなかなか難しいものですね。

 

体調が悪いので、この辺で失礼します。

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また。

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