こんばんは
ジェノサイドを読み終わり、もう一回読み直してみております。正直、読ませてもらいました。いい本ですw
初めの100ページくらいで「こんな内容になりそうな予感」とか思って、そういう展開になってきたかと思ったら…うまいこと外されましたw
いや、楽しかったですね。読み直しても、さすがに読み取れませんね。
病院総合医ってなんだろう(総合内科専門医との違いは何?)
という記事を書き、ここで総合医ってなんだろうって書きました。引用はCBの記事(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120125-00000008-cbn-soci)です
そういえば総合内科専門医認定証とバッチが来てましたが、総合内科専門医と病院総合医の違いは何か・・・。まぁ、似たようなものだと思いますが。
ここでこんなことを若輩者の僕が書くのもどうかと思うのですが、本当にいろいろやろうというのであればビジョンを示さなくてはだめだと思うのです。
総合的なビジョンがあるからこそ、総合内科医と専門医の線引きができるわけで、ビジョンがなかったら各々の役割すらよくわからなくなります。
病院総合医と書いているからには、病院の初診などを扱うものだと思います。これを定めている「プライマリ・ケア学会(http://www.primary-care.or.jp/index.html)」にはこう書かれています。
1)内科を中心とした幅広い初期診療能力(1次2次救急を含む)
2)病棟を管理運営する能力
3)他科やコメディカルとの関係を調整する能力
4)病院医療の質を改善する能力
5)診療の現場において初期・後期研修医を教育する能力
6)診療に根ざした研究に携わる能力
ちなみに内科専門医は
【1】患者の身になって対応できる豊かな人間性
【2】患者の問題解決に貢献する能力
【3】世界基準に適う医学知識・技術
【4】独創的な研究能力を備える内科医
をもとに、
1、高レベルな横断的能力を有した一般・総合内科の専門医・指導医
2、卒前教育,研修,生涯教育の担い手としての一般内科の専門医・指導医
3、臨床医学の横断的領域として内科学を総合的に捉える研究者
となっています。あえて書くなら、病院総合医のほうが「調整」に関しても記載されているほかは、あまり違いが良くわかりません。初期治療を行う…というのは書いてありますが、どちらも行いますので。
よって、これらの違いを論じるよりはどのような運営を考えているのかというのがポイントのような気がします。
今回、対象となる地域・・・すなわち日本という国は南北に2000kmの広がりを持ち、人口当たりの医師数は最低の埼玉から京都や東京、徳島など若干多い(といってもOECD平均ですけど)地域があります。交通の便に関しても様々であり、今年の大雪では新潟など日本海側は車も大変だと思いますが、ヘリも飛ばすのは困難ではないでしょうか。
患者は専門医志向・・・とCBの記事には書かれていましたが、最初はどこの診療科にかかっていいか患者さんもわからないと思うので、最初は近くの医師(特に内科医)にかかるのではないかと思います。そこでこの可能性があるから、専門の病院を紹介しますとなっている。死ぬ病気だとわかったから、専門家にかかりたいと思う。
僕は患者さんの専門医志向が強くなったというのも0ではないと思いますが、別に癌とかでなければ専門医施行が強くなったわけでもないように感じます。僕なんか、何回患者さんを説得して専門の医師に診てもらおうと思ったか(申し訳ないですが、大学病院の血液内科、しかも毎週40~50名では合併している糖尿病などまで手が回りません。ここら辺でこの検査をしたいと思っても、その検査などにまで手が回らなくなります)
むしろ、先日相談されたこともそうですが、「専門でもないのにこの分野の治療をして、合併症を起こして死亡させた」という非難が出るようになってから、専門分野以外に手を出さなくなったという印象が強いですね。救急だって、本当に得意なところでなければ「救命」した後は専門の診療科に紹介しますよね。もっとも、救急救命に関してはすぐ紹介しないと満床になってしまいますので、仕方がないですが。
どうように総合医がまずは初診に当たり、必要な検査を次々に行い、診断をつけて専門の診療科に紹介するというスタンスで行くのか。それとも治療も行うのか。どこまで行うのか?
少し難しいかもしれませんが、診断に特化するのであれば診断のための技術を中心に磨いていけばよいことになります。全く治療ができないのは困りますが、やはり専門性の高い技能は不要ということになります。
また、この場合はどうしてもその後の専門的治療を引き継ぐ「専門家集団」が必要になりますし、その治療をどこで線引きするかをある程度明確なビジョンとして持っていなくてはならないでしょう。そうでなければ現場が混乱(というか、押し付け合い)します。
役割が明示されてしまえば、やるべきことは見えてきます。
要求されることも、やってはならない物も見えてくるのではないでしょうか。
ちなみに例えば病院総合医というのが初診(診断をつける)+プライマリ・ケア(初期治療+死ぬリスクは少ないが、医療介入をすることで患者に利益がある治療)に限定するとします。すなわち、それが最低限行わなくてはならないこととします(僕に言わせれば誰でもできるべきですけどね)。
次にこれらの医師は
1、患者の背景、家族背景を把握する
2、自分たちの診療施設の背景、処置能力を把握
3、患者の病状を把握
4、診断や初期治療へのクリニカルコースを予測する
ことが最初の最初で行うべきことだと思います。もちろん、診断をつけずに完全なクリニカルコースは予測できませんけど、診断のためのクリニカルコースを考えなくてはならない。
病院総合医は一部救急の医師ともかぶるかもしれませんが
1、患者を死なないようにしながら診断を確定する。死なないような処置をする。時間がなければ、一番可能性の高い診療科に紹介する
2、そのために行うことを列挙
3、最優先して行うべきこと(わざわざ調整も書いていますので、診療科間の調整もするのでしょう)
ということになります。3に関しては病院によっては「診療科がない」「診療科の中心医師が気難しい」など、調整を最優先にしなくてはならないかもしれません。もちろん、確実な診断あって初めて成り立ちますが。
そして、そのために使用できるものは何かということになります。
診断のためには医師の検査前確率と各種検査のOdds比、そして検査後確率と繋がるわけですが、どの検査ができるのか。怪しいけど、うちではこの検査はできないならすぐに検査ができる病院に転院も正しい判断になりますし、転院のための手段も把握しておかなくてはなりません。
その時にはこれは必ずしなくてはならないのか、それともしたほうが良いのか。MustかBetterかも把握しなくてあなりません。
どこまで行うか、どこで引くかも判断が必要です。いつまでも診断を続ける・・けどわからないでは話にならない。
初診の診療科の教授からATLLの紹介がありましたが、あの時は「血液疾患だと思うけど、よくわからない」と言われました。僕はたまたまATLL4人(1人は外の病院に紹介しましたが、どうなったのだろう)診療していたので、この皮疹、この雰囲気、そして・・・と1時間ほどで診断に到達しました。というかCaが15を超えていたので、南九州出身ということと、他の所見からATLLと当たりをつけて緊急入院にして、あとはHTLV-1などの結果待ちでしたが。
これを逆に自分たちで診断しようとしていれば、死んでしまいます。おそらく…1週間も持たなかったのではないでしょうか。Caの値を考えると。
だから、どこで引くか…というのは重要になると思います。
それとも頑張って診断をつけようとしてくれていたのだから、間に合わなかったとしても「仕方がない」となるでしょうか。ならないと思いますよ、僕は。
僕も「この疾患の可能性があるなぁ」と思った時に、それが命に係わるなら引いてしまいます。該当する疾患を専門とする医師に紹介します。逆に全く見当がつかなかった場合、身体所見その他からすぐに治療はしなくてよいと思えば、少し様子を見ますが・・・・先日も書いた「吐き気」が主訴の21歳が急性白血病ということもありますからね。
どこまでやるのか、どこで引くのか。これは各病院のスタンスにもよると思います。
しかも、総合内科医を作ると書かれていますが、この条件で仕事をするには条件が出てきます。総合内科医の紹介を各専門の診療科は引き受けること・・・。
これがなくてはいけない。
しかし、もしうちの血液内科のように常時100%以上でやっていると、いきなり降られると予定入院も受けられなくなるなどということにもなりかねません。
だから、どういうビジョンを持っているのか。それをぜひ知りたいなぁと思っています。皆様は、どう思われますか?
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
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それでは、また。