新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

心因性発熱:まるで慢性疲労症候群みたいだけど・・・?

2012-06-03 07:51:53 | 医療

おはようございます

 

昨日は結婚式の書準備、ハネムーンの計画などで一日が過ぎてしまいました。気が付くと12時近くになっており…とてもじゃないですが1週間分の記事を書く余力はないです。

 

ということで簡単な紹介記事を、予約投稿できる範囲で書いておこうと思います。

 

 忙しく頑張りすぎる現代人に、原因不明の発熱「不明熱」が増えている。体温が上がるだけでなく、全身の倦怠感や集中力の低下で仕事の能率が下がり、イライラが募るなどの症状が続く

 1990年以降発熱の機序が解明されたため、これらの症状が感染による発熱とは違い、ストレスが原因の心因性発熱という病気であることがわかってきた。心因性発熱は風邪など感染症による発熱とは違うので、市販の解熱剤は効かない。

 九州大学病院心療内科の岡孝和准教授に話を聞いた。

「恒温動物が心理的ストレスにより体温が上がることは、動物実験では当たり前のこととして知られていました。人間もストレスで体温が上がりますが、通常37℃を超えることはなく自覚はありません。急性や慢性の心理的ストレスによって、体温が37℃以上となる場合、心因性発熱と診断しています」

 心因性発熱は3つのタイプがある。1つ目は強いストレスで急に体温が上昇し、ストレスがなくなると熱が下がるタイプ、2つ目は慢性的にストレスがかかり、37~38℃の微熱が持続するタイプである。1と2が合併するのが3つ目のタイプで、乳幼児は1タイプが多く成人は2か3のタイプが多い。

 診断は発熱の原因になる身体疾患の有無、血液検査で炎症反応の有無と解熱剤の効果を検査する。炎症反応がなく、解熱剤でも熱が下がらない場合は心因性を疑う。また3~6か月前の仕事や生活環境など心理社会的背景を聞き、ストレスがあるかどうか確認する

 さらに心理的ストレステストで体温が上がればストレス性と診断される。他にも、掌や足底の発汗や不眠も診断のポイントになる。
 
(取材・構成/岩城レイ子)
 
※週刊ポスト2012年6月8日号

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これってよくわかりませんが…まずは不明熱の定義は「38.3 度以上の発熱が何度か認められる状態が 3週間を超えて続き,1 週間の入院精査でも原因が不明のもの」です。

不明熱をきたす疾患として,感染症,非感染性炎症(膠原病や血管炎),悪性腫瘍が多いとされていますが、他にも内分泌疾患、アレルギー性疾患など多岐に及びます。

 

この文章を読んで最初に思ったのは「慢性疲労症候群の話を書いているの?」ということです。

時間の都合で、Wikiの記載が間違いはなさそうなので(一応、日本臨床2007-6:慢性疲労症候群の各項目と照らし合わせたうえでです)、転記させていただきます

 

日本疲労学会診断指針 2007 [編集]

6か月以上持続する原因不明の全身倦怠感を訴える患者が、下記の前提I, II, IIIを満たした時、臨床的にCFSが疑われる。確定診断を得るためには、さらに感染・免疫系検査、神経・内分泌・代謝系検査を行うことが望ましいが、現在のところCFSに特異的検査異常はなく、臨床的CFSをもって「慢性疲労症候群」と診断する。

〔前提I〕
病歴、身体診察、臨床検査を精確に行い、慢性疲労をきたす疾患を除外する。ただし、抗アレルギー薬などの長期服用者とBMIが40を超える肥満者に対しては、当該病態が改善し、慢性疲労との因果関係が明確になるまで、CFSの診断を保留し、経過観察する。また、気分障害双極性障害、※精神病性うつ病を除く)、不安障害身体表現性障害線維筋痛症は併存疾患として扱う(※妄想や幻覚を伴ううつ病の場合に、精神病性うつ病と呼ばれる)。
〔前提II〕
〔前提I〕の検索によっても慢性疲労の原因が不明で、以下の4項目を満たす。
  1. この全身倦怠感は新しく発症したものであり、急激に始まった
  2. 十分休養をとっても回復しない
  3. 現在行っている仕事や生活習慣のせいではない
  4. 日常の生活活動が発症前に比べて50%以下になっている。あるいは疲労感のため、月に数日は社会生活や仕事ができず休んでいる
〔前提III〕
以下の自覚症状と他覚的所見10項目のうち5項目以上を認める。
  1. 労作後疲労感(労作後休んでも24時間以上続く)
  2. 筋肉痛
  3. 多発性関節痛(腫脹はない)
  4. 頭痛
  5. 咽頭痛
  6. 睡眠障害(不眠、過眠、睡眠相遅延)
  7. 思考力・集中力低下
  8. 微熱
  9. 頚部リンパ節腫脹(明らかに病的腫脹と考えられる場合)
  10. 筋力低下((8)(9)(10)の他覚的所見は、医師が少なくとも1か月以上の間隔をおいて 2回認めること)。

今回、CFSに加え、特発性慢性疲労(: idiopathic chronic fatigue、ICF)という診断名が追加された。上記前提I, II, IIIに合致せず、原因不明の慢性疲労を訴える場合、ICFと診断し、経過観察する。従来の「CFS疑診例」に相当するものだが、ICFは国際的に通用する用語であり、ICFという病態は患者に説明しやすく、診療報酬の観点からも有用と考えられている。

厚生省診断基準案 [編集]

  1. 大クライテリア(大基準)
    1. 生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヵ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す(50%以上の期間認められること)。
    2. 病歴、身体所見、検査所見で別表に挙けられている疾患を除外する。
  2. 小クライテリア(小基準)
    1. 症状クライテリア(症状基準)-(以下の症状が6ヵ月以上にわたり持続または繰り返し生ずること)
      1. 徴熱(腋窩温37.2~38.3℃)ないし悪寒
      2. 咽頭痛
      3. 頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張
      4. 原因不明の筋力低下
      5. 筋肉痛ないし不快感
      6. 軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感
      7. 頭痛
      8. 腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛
      9. 精神神経症状(いずれか1つ以上): 光過敏、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、混乱、思考力低下、集中力低下、抑うつ
      10. 睡眠障害(過眠、不眠)
      11. 発症時、主たる症状が数時間から数日の間に出現
    2. 身体所見クライテリア(身体所見基準) - (少なくとも1ヵ月以上の間隔をおいて2回以上医師が確認)
      1. 微熱
      2. 非浸出性咽頭炎
      3. リンパ節の腫大(頚部、腋窩リンパ節)または圧痛
  • CFSと診断する場合 - 大基準2項目に加えて、小基準の「症状基準8項目」以上か、「症状基準6項目+身体基準2項目」以上を満たす
  • CFS疑いとする場合 - 大基準2項目に該当するが、小基準で診断基準を満たさない
  • 感染後CFS - 上記基準で診断されたCFS(「疑い」は除く)のうち、感染症が確診された後、それに続発して症状が発現した例

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一応慢性疲労症候群はTGF-βやインターフェロンなどのサイトカインのバランスの問題と言われています。恐らく血液検査で炎症反応がどうのこうのというのはCRPなどを見ていると思いますが、IL-1やIL-6が動かないと上昇しませんよね。典型的にはSLEとかは胸膜炎とか心膜炎などを生じないとCRPは上昇しないといいますし・・・。

 

 ただ、この記事を読むと「頑張っている人の発熱は心因性」という印象を受けたので、それはそれほど多くはなく、何かがある可能性があります。本当に調べても異常が見つからない発熱の原因の一つとして、心因性や慢性疲労症候群などの疾患も考えるべきではないかと思います。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

 

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それでは、また

 

コメント (2)
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