もう一つ紹介です
悪性リンパ腫の治療効果に差 ウイルスの血中遺伝子量
http://www.47news.jp/CN/201206/CN2012061901002080.html
通常の抗がん剤がほとんど効かない悪性リンパ腫「NK細胞リンパ腫」に有効な治療法「SMILE療法」は、リンパ腫の腫瘍に含まれるウイルスが血液中に出した遺伝子の量が少ないほど治療効果が大きく、副作用も出にくいことを、名古屋大医学部・医学系研究科の鈴木律朗准教授らの研究チームが突き止め、米専門誌に19日までに発表した。
SMILE療法は、NK細胞リンパ腫に5種類の抗がん剤を投与する治療法。効果は高いが、白血球の減少や肺障害などの副作用が出ることがあった。
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これだけだと何だかわかりにくいのですが、こちらの記事でEBVのゲノム量であることが書かれています
悪性リンパ腫の治療効果に差
ウイルスの血中遺伝子量
通常の抗がん剤がほとんど効かない悪性リンパ腫「NK細胞リンパ腫」に有効な治療法「SMILE療法」は、リンパ腫の腫瘍に含まれるウイルスが血液中に出した遺伝子の量が少ないほど治療効果が大きく、副作用も出にくいことを、名古屋大医学部・医学系研究科の鈴木律朗准教授らの研究チームが突き止め、米専門誌に19日までに発表した。
SMILE療法は、NK細胞リンパ腫に5種類の抗がん剤を投与する治療法。効果は高いが、白血球の減少や肺障害などの副作用が出ることがあった。鈴木准教授は「治療を受ける前にこのウイルスが出した血中遺伝子量を測定すれば、より安全で効果的な治療を受けることができる」と話している。
このウイルスは「EBウイルス」で、研究チームはSMILE療法を受けた患者の血液からEBウイルス遺伝子(DNA)の量を測定。その結果、血液1ミリリットル当たりのDNAが10万本以下の患者では、腫瘍の縮小率が90%だったのに対し、10万本以上の患者では20%だった。
また、10万本以下の患者では副作用の発生確率が35%だったのに対し、10万本以上の患者は100%。血中のEBウイルスDNAの量により治療効果や副作用の発生率に差が出た。
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まず、EBVですが多くの人は子供のころに不顕性感染(症状なしで感染)するウイルスで、思春期以降に初感染をすると「伝染性単核球症」という病気を発生します。
他にもいろいろな病気の原因になり、例えばバーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(一部)などの悪性リンパ腫や上咽頭癌、移植後のリンパ増殖性疾患などの原因として挙げられます。あぁ、書きかけの論文を書かないと(もう似たような内容の論文、出されているかもなぁ)。
そして今書かれているNK/T細胞リンパ腫もEBウイルスが関連する腫瘍として有名です。
ちなみにNK細胞リンパ腫ではなくて、正式名称が「NK/T細胞リンパ腫」であるのは理由があります。多くはNKタイプですが、一部T細胞タイプが存在するのでこう書かれています。診断にEBER陽性(あぁ、ますます論文のことが頭をよぎる)、これはEBウイルスが感染していますよ…というのを示しているのですが、そういうのも基準になっています。
そうするとEBVのウイルス量が何かに関係するかもしれないというのは自然な発想だと思います。それを証明するのが重要なのだと思いますが。
ちなみにSMILE療法はかなりきつい治療法です。この治療法は最終的に有効性が高いことが確認されていますが、治験の最初のころ治療関連死が連続したという有害事象も強い治療です。そのデメリットも大きい治療法の有効性や有害事象を予測できることはとても素晴らしいことなのです。ウイルスをはかって量が少ないことを確認できれば、有効性は高く、有害事象の発現率も少ないと推測でき、患者さんの治療を受けるか否かの選択を助けることができます。
「患者さんのメリット」はとてつもなく大きいことになります。
このEBVのウイルス量を測定することは、おそらく「免疫抑制の強い同種骨髄移植(再生不良性貧血に対する移植)」や「ウサギATGを用いた免疫抑制療法(僕が去年論文書いていたのですが、書きかけで大学離れているのです・・・別の論文もRejectされてそのまま放置)」などでも役に立つはずで、この際、保険適応にしてほしいものです。月1回でよいから・・・。
そういうことでこの記事は素晴らしいことを伝えております。記事の紹介を終わります。
明日もまた暑くなりそうだなぁ
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。