近くに長期間利用していたガソリンスタンドがあった。4月から店舗閉鎖の挨拶状が届いたのは3月のことだ。近隣の市に系列のスタンドがあるとの案内があった。そこは自宅からかなり遠い。4月と5月は娘に車を貸し出している状態であり給油もどこかですませていたようだ。これまでも稼動することの少ない車である。娘が居なくなって一月半になろうというのにガソリンは十分に残っている。7月になって給油の時しか使うことのない会員制のクレジットカードにはさみを入れた。我が家はこの先どこのスタンドで給油すべきか未定である。
定年後は視力の関係もありほとんど車の運転をしていない。自転車通勤を始めてからおよそ7年である。戦後の貧しさを生きた人間はバスで行くべきところを歩いたりする習性が身についてしまっている。そんな親の元で育った私達の世代はいくぶんかその影響を受けていると思う時がある。タクシーは贅沢と思い込んでいる。私はこれまで長距離ドライブを楽しむ方ではなかった。広大なアメリカならいざ知らず現在日本のこの地域に住む限り公共の交通機関で十分間に合う。車を捨てて何かの時はタクシーを使おうと家族に提案したがその意見は通らなかった。タクシーは呼ぶ手間がかかるだけではないか。
最近のガソリンの高値で自転車が見直されているのは喜ばしい。江戸時代の遺産である玉川上水沿いの私の通勤コースは快適である。どこまでも生い茂る木々に覆われ夏には木陰を走り抜ける。沿道の住民が手入れしている季節ごとの草花が目を楽しませてくれる。日本でも気分良く走れるコースさえあれば長距離自転車通勤者が増加することは間違いのないところだ。政策として自転車専用道路の開通にもっと力を入れてもいいのではないか。
そんな私の運転免許証だが不要になったわけではない。銀行、郵便局、市役所、映画館などの窓口で本人確認または年齢確認などになくてはならないものになっている。健康保険証では場合によってはだめな時でも運転免許証ならばその心配は全くない。ある自治体では運転免許証を返納すると優遇措置があるらしい。引き換えに何らかの身分証明書が支給されるのであれば考えてみてもよい。