台風から一か月が経過しても玉川上水にはまだその傷跡が残っている。落下した枝が放置されそれらは枯れて変色し、頭上注意とテープが張られた個所もまだ散在している。季節が進んで落葉の頃になればそれらも目立たなくなるだろうか。ところで庭の縁石に砕いて置いたマテバシイの実を小鳥たちは食べた形跡がない。低い場所が駄目ならば餌台を作ることを考えねばならない。また柿の木の葉は残り少なくなり、小鳥のために残している10個ほどの実が青空を背にはっきり確認できるようになった。
NHKラジオの「日曜あさいちばん」に5時20分から「季節のいのち」という10分ほどのコーナーがある。日本野鳥の会主席研究員の安西英明氏(1956年生まれ)が担当している。1990年ごろからスタートしたという。このコーナーのことを私が知ったのは数年前のことだ。しかし早い時間帯なのであまり聞くことがなかった。その内容は私が毎回出席している鈴木さんが主催する二十四節気毎の玉川上水ミニ観察会のそれと重なる部分が多い。久しぶりに聞く23日の「季節のいのち」のテーマは「ドングリとサイカチ」だった。
スタジオには大きくて丸いクヌギと小さくて細長いコナラのドングリ、および数個の種子が入った長さ25cm程のサイカチの鞘(さや)が持ち込まれたようだ。ドングリが机の上をころがる音、そしてサイカチを振る音が聞こえる。こちらはカシャカシャと楽器マラカスのようである。サイカチという高木については全く知らなかったから、放送を聞いた後でネットで調べた。さて地球上の野鳥は1万種で、そのうち小鳥が6千種を占める。動けない植物が小鳥たちを利用した「命をつなぐ作戦」もみごとだ。小さくて丸い木の実をつけて小鳥たちに丸呑みしてもらって糞となった種子を運んでもらう。また固いドングリの殻は保存に適しており、それを小鳥たちが隠し場所に運んでくれる。
安西氏は季節の小鳥や虫や草花をサバイバル戦略という見方を軸に説明する。野鳥から学ぶ、地球というこの奇跡の惑星の「持続可能な未来」がテーマのようだ。つぎの30日の放送は「ジョウビタキ」の予定だ。これから日曜日は目覚まし時計で起きて5時20分にラジオのスイッチをいれることにしよう。「季節のいのち」に続いて5時台には「文学のしずく」がある。これは「あらすじで聞く小説」と言われている。23日は中勘助の「銀の匙」を俳優の内田朝陽(あさひ)が朗読していた。(写真は西伊豆にて)