本の背に「小泉今日子書評集」とある一冊に手がのびた。「検察庁法改正案に抗議します」とツイッートして話題を集めたことを私は記憶していた。悲しいことにこの国には、芸能界やスポーツ界の著名人が政治的発言をしようものならそれを誹謗中傷する輩が存在する。女優と書評の結びつきに興味が湧いて読んでみた。
愛称キョンキョン(1966年生まれ)は2005年~14年まで読売新聞の読書委員を務めている。本来二年任期のところを五期も続けたという。小泉が「私の恩師」という作家、演出家の故・久世光彦さんの仲立ちで読売新聞の読書面デスクと会い、押し問答の末に書くことになる。書評は毎週日曜日に掲載された。
委員会は隔週で開かれ、委員で選定した本を一冊づつ議論してゆく。会議が終わると皆でお酒を飲みながら懇談する。小泉は十年の経験について、話す言葉とかも確実に変わっている、何かを人に説明することがうまくなっている気がする。そんな時間が本になってここに残るんだと思うと、本当にありがたいと述べている。(隣町の公園にある戦跡)
「死とは生まれる前の場所」というフレーズがあった。その部分を紹介する。「私が四十歳になったとき、やっと人生の折り返しだね、と誰かに言われた。この世に生まれてヨーイドン!と走り出して、四十歳で折り返してみたら、生まれる前の場所、死に向かって走っていることに気付く。折り返す前はどこに向かっているのかわからないから、流れる景色を楽しむ余裕もなく、ただただ走る。折り返して向かう先がわかったら安心して景色を楽しむことができる。その景色が生きるということかもしれない」
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