「優しい人」
聞いてしまう耳は、寂しい
あなたの、優しさのさだめ
泣いている声、いつでも耳に入って
一緒に、泣いてしまう、優しい人
感じてしまう心、どうしようもなくて
受けたくないものを受けても
柔らかい、その笑い
胸に棘、挿しながらも
だから、みんな、あなたに
凭れかかっていたいと
思うのだ
強くて、優しい人
「優しい人」
聞いてしまう耳は、寂しい
あなたの、優しさのさだめ
泣いている声、いつでも耳に入って
一緒に、泣いてしまう、優しい人
感じてしまう心、どうしようもなくて
受けたくないものを受けても
柔らかい、その笑い
胸に棘、挿しながらも
だから、みんな、あなたに
凭れかかっていたいと
思うのだ
強くて、優しい人
春めいた陽射しが
景色に眩しさを添えます
例えば裸の梢に
すずめの小さな体に
冬用のコートにも
陽ざしは冬のかけらを
遠くへ追いやって
重いコートも早く脱ぐようにと
急かしているようでした
肌寒い毎日なのですが
陽ざしは日ごとに
明るくなるように感じられます
先日も公園を歩いていたのですが
風は冷たいのに
太陽の当たる背中は
どこかポカポカとしてきました
そんな暖かな陽だまりには
丸い姿の三毛猫が一匹
日向ぼっこをしているのでしょうか
その姿も影も
まるで動かないでいます
遠くから見ていると
生き物ではなくて
まるで置物のようでした
炬燵から這い出してきて猫が
陽ざしを楽しむ春が
もうそこまできていることが
実感できました
「弾ける」
小さな雀、死んでいた
きっと巣から落ちて、首が折れ曲がって
温かで、蟻がたかっていた
赤い炎のような蟻だ、のを払って
両手にいただくように、あなたの家に
急いだ、白い呼び鈴を押した
胸の中の可哀そうは
膨らみ続ける、風船のようだった
いつか割れてしまう定め
せめて、あなたの前で、弾けたかった
おんぼろな車の、さえぎる横断歩道
憎らしい、笑っている人たち
心よ、あなたの家まで、もってくれと思った
でも、知っているよ
僕が破裂したとして
あなたは拾わない、僕の屍
子供がお手製の万華鏡を
褒められて帰ってきました
厚紙で三角の筒状の躯体を作り
その先には一口ゼリーの
透明な容器を取り付けています
容器を何種類か用意し
様々な模様を描いて
それを取り替えると模様が変わる仕組みです
こうした工作が得意な次男
我が家では異質な存在で
誰の血を引いたのだろうと思います
次男に急かされて
覗いてみた万華鏡は
確かになかなかの出来栄え
万華鏡から眺める光溢れた世界は
きっと次男に見えている世界
これからどんな
光の模様に浴そうとするのか
楽しみにしています