風のささやき 俳句のblog

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優しい人【詩】

2025年02月20日 | 

「優しい人」

聞いてしまう耳は、寂しい
あなたの、優しさのさだめ
泣いている声、いつでも耳に入って
一緒に、泣いてしまう、優しい人

感じてしまう心、どうしようもなくて
受けたくないものを受けても
柔らかい、その笑い
胸に棘、挿しながらも

だから、みんな、あなたに
凭れかかっていたいと
思うのだ
強くて、優しい人


春きざし光がコート膨らます早く脱げよと急かされるよう【短歌】

2025年02月18日 | 短歌

春めいた陽射しが
景色に眩しさを添えます

例えば裸の梢に
すずめの小さな体に
冬用のコートにも

陽ざしは冬のかけらを
遠くへ追いやって
重いコートも早く脱ぐようにと
急かしているようでした


春隣陽だまり猫の飾り物【季語:春隣】

2025年02月15日 | 俳句:冬 時候

肌寒い毎日なのですが
陽ざしは日ごとに
明るくなるように感じられます

先日も公園を歩いていたのですが
風は冷たいのに
太陽の当たる背中は
どこかポカポカとしてきました

そんな暖かな陽だまりには
丸い姿の三毛猫が一匹
日向ぼっこをしているのでしょうか
その姿も影も
まるで動かないでいます

遠くから見ていると
生き物ではなくて
まるで置物のようでした

炬燵から這い出してきて猫が
陽ざしを楽しむ春が
もうそこまできていることが
実感できました


弾ける【詩】

2025年02月13日 | 

「弾ける」

小さな雀、死んでいた
きっと巣から落ちて、首が折れ曲がって

温かで、蟻がたかっていた
赤い炎のような蟻だ、のを払って
両手にいただくように、あなたの家に
急いだ、白い呼び鈴を押した

胸の中の可哀そうは
膨らみ続ける、風船のようだった
いつか割れてしまう定め
せめて、あなたの前で、弾けたかった

おんぼろな車の、さえぎる横断歩道
憎らしい、笑っている人たち
心よ、あなたの家まで、もってくれと思った

でも、知っているよ
僕が破裂したとして
あなたは拾わない、僕の屍


手作りの万華鏡から宙(そら)のぞく君のありたい錦に届け【短歌】

2025年02月11日 | 短歌

子供がお手製の万華鏡を
褒められて帰ってきました

厚紙で三角の筒状の躯体を作り
その先には一口ゼリーの
透明な容器を取り付けています

容器を何種類か用意し
様々な模様を描いて
それを取り替えると模様が変わる仕組みです

こうした工作が得意な次男
我が家では異質な存在で
誰の血を引いたのだろうと思います

次男に急かされて
覗いてみた万華鏡は
確かになかなかの出来栄え

万華鏡から眺める光溢れた世界は
きっと次男に見えている世界

これからどんな
光の模様に浴そうとするのか
楽しみにしています