風のささやき 俳句のblog

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溜息も哀しさ帯びぬ熱帯夜 【季語:熱帯夜】

2017年07月29日 | 俳句:夏 時候

夜も遅い時間
それでも暑さが和らぐ気配はなく
寝転がっているだけなのに
汗が湧いてきます

窓を開けても
風が吹く気配もなく
カーテンは微動だに動かないまま

その日の出来事を考えて
自己嫌悪に陥る溜息も
熱を帯び少しも
物思いの憂いを伝えません

そのうち考えることが
馬鹿らしくなり
シャワーを浴びるため
立ち上がりました

哀しみが似合わない熱帯夜です


つり革の手は老いてあり夏の月 【季語:夏の月】

2017年07月22日 | 俳句:夏 天文
いつものように電車に乗って
家路へと向っていました

夜ももう遅い時間
その日も色々と忙しく
ぐったりとして
電車のつり革につかまっていたのですが

何気なくつり革を握る自分の手を眺めると
皺深く節々が骨ばり
とても年老いて見えました

我ながらその手にギョッとして
窓の外を眺めると夏の明るい月

僕の胸の内の戸惑いには
まるでそ知らぬ顔でした

駅で待つ腕時計にも夏の空 【季語:夏の空】

2017年07月15日 | 俳句:夏 天文
とある午後のことでした
駅でなかなか来ない電車を待っていました

時刻表を見たら
もうとっくに電車が到着している時間
先を急いでいることもあって
事故でもあったのかなと
少しやきもきとしながら
腕時計を覗き込んだのですが

その腕時計の中には青い夏の空
つられるように顔を上げて空を眺めていたら
電車が遅れていることぐらいで
イライラとしている自分が
ちっぽけでつまらなく思えてきました

引越しの労をねぎらう月涼し 【季語:涼し】

2017年07月08日 | 俳句:夏 時候
引越しをした時のこと
あまり荷物もないだろうなと思っていたのですが
予想以上のダンボールの数

やはり住んでいるうちに
色々と買い込んでいるものだなと
その積み上がった箱の数を見て思っていました

昼間の間汗を流しながら作業をし
最後の掃除まで含めると
終わったのはもう夜の10時を過ぎていました

食事をしようと外に出ると
もうすっかりと涼しくなった風と
空に輝く丸い月
今日一日の慌しさを労ってくれているようでした