風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

冬に入る重機の姿気概なし【季語:冬】

2024年11月16日 | 俳句:冬 時候

職場の側で工事が続いてます
大きなビルを建てるらしく
背の高いクレーン車やらが運び込まれて
見ていてもなかなか壮大な眺めです

その物音もつい最近までは
うるさい位に耳にまとわりついてきたのですが
寒くなって来てからは
どこか物静かで力なく聞こえます

今までの元気はどうしたんだと
ちょっとハッパをかけたいぐらいです

冬場の外での作業は身に沁みますものね
何となく気持ちも分かり
その重機の姿に合わせるように
僕も身を縮こまらせます


柚子色や満月の夜明日の春 【季語:明日の春】

2024年02月03日 | 俳句:冬 時候

夜に自転車で走っていました

まだまだ風は冷たく
露出した顔の部分は
少しピリピリと感じる程でした

街灯も少ない暗い道を走っていたのですが
空には明るい満月がかかり
それが薄い柚子の色をしていて
空全体が薄黄色をして暖かな感じでした

冬の満月とは言え、1か月前の満月とは
随分違って見えるのだなと感心しながら
春の足音を確かに感じていました

空にかかったままの満月は
とても心強い道標のようでした


重ねては体温分け合う冬の部屋 【季語:冬】

2024年01月06日 | 俳句:冬 時候

寒い部屋で眠る子供たち
いつも重なり合うように寝ています

窮屈ではないのかなと思うのですが
昔から人とくっついて寝るのが好きなようなので
冬場は特に温かくて良いのでしょう

自分も時折一緒に眠るのですが
体をくっつけてきたり
足を乗っけてきたりで
本当に寝た気がしません

よくこんなに折り重なりながら
眠れるなと三人を見て思います


帰り道年の名残りの夕日の目 【季語:年の名残】

2023年12月30日 | 俳句:冬 時候

もう今年も残すところ後わずか

年末年始は家でゴロゴロしようと
少し多めに食材を買いました

もう夕暮れ時
夕日が随分と低いところまで降りていて
そのオレンジ色の眼差しで
僕を見ているようでした

まるで今年一年の労苦を
労ってくれているような
少し濡れた目

今年の終わりを実感していました


握ったら手すりも冬の住処かな 【季語:冬】

2023年12月23日 | 俳句:冬 時候

夜、駅の階段を降りる際に
手すりにつかまろうと触れると
氷に触れたような冷たさが伝わってきて
思わず手を放しました

冬が手すりに住み着いて
それに相応しい冷たさに
変えてしまったものです

一瞬、驚いて、胸の中もひんやりとして
冬は家の中で
布団にくるまっているのが一番だなと
そんなことを思いました


呟きが響くはっとや冬の夜 【季語:冬の夜】

2023年12月16日 | 俳句:冬 時候

冬の寒さのせいで人が少ないのか
ここのところ、夜遅くなると随分と静かです
たまに、酔っぱらいの声がする位で

そんな夜の静けさの中で
パソコンをいじりながら
ああでもない、こうでもないと
思わずつぶやくと
その声の大きさに
我ながら驚いてしまいます

誰か起こしてしまったのではと思い
横を見るとぐっすり眠っている子供

独り言を言わないようにと
心にとめて
またパソコンに向かいました


寒き朝あてにならないあと5分 【季語:寒き朝】

2023年12月09日 | 俳句:冬 時候

冬になってますます
子供たちが朝、布団の中から出てきません

部活の朝練があるので6時半に起こしてと言われて
こちらも遅れてはいけないと
必死に声をかけるのですが
あと5分といった後、しばらく起きてこないので
また声をかけに行く繰り返しです

眠いし、寒いしで
布団から思い切って起きる気持ちにならないことは
自分も良く分かっているのですが
こちらだけ、慌てた気分で
子供たちが呑気に起きてこないと
それはそれで頭にも来ます


いつもより子の手は温し寒き朝 【季語:寒き朝】

2023年12月02日 | 俳句:冬 時候

三男と手を繋ぎ家を出たのですが
その日は寒い風が吹いていたせいか
三男の手がいつもよりも暖かく感じられました

自分も体温は低いほうではないのですが
子供の体は新陳代謝が活発だからでしょうか
三男の手はとても温かく感じられます

小さなカイロを手に握り締めているようで
別れ際には、その手を離したくはなくて
少しぐずぐずとした自分でした


ほどけ行く飛行機雲あり小春空 【季語:小春空】

2023年11月25日 | 俳句:冬 時候

海外から帰り着いたお昼時は
思った以上に温かで
肌に沁み込むような寒さをイメージしていたのですが
良い意味で肩透かしにあいました

飛行場からバスに乗り込んだのですが
車窓から見る冬の空には
二本の飛行機雲が並列で線をなし

その地上に向かっている方は
解けて行くような広がりを見せていたのですが

まるで何かの物体が
白い筋を引きながら空から墜落して
地上近くで破裂し砕けたような
そんな姿でした

そんな痕跡も飲み込んで
何事もなかったように消していく
静かな冬空がそこにありました