風のささやき 俳句のblog

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初夏の風 君に急行 透明な 絨毯となれ 僕 届けに行く 【短歌】

2022年05月31日 | 短歌
初夏の風が吹いてきました
気持ちの良い風でした

しばらく会えていない人のことを思い出したら
その風が絨毯のようになって
僕をその人の元に届けてくれればいいのにと
そんなことを考えていました

ネットを通じて顔を見たりはできますが
やはり近くでその人の温もりや息遣いなども
感じていたいものです

風鈴や響く範囲に闇深む

2022年05月28日 | 俳句:夏 人事
夜、子供たちも寝て
一人で、お酒を飲みながら
小さな音でニュースを見ていました

外は少しだけ雨
雨音以外にはあまり物音もしません

空気がこもっていたので
窓を開けました
しばらくすると風も動いて
買ったばかりの風鈴が
高い澄んだ音を鳴らしました

その音の後には静けさも
闇も一層深まったように感じられました

僕もその音に耳を傾けて
心が静まるように感じました

眠れない夜 【詩】

2022年05月26日 | 

「眠れない夜」

眠れないでいる 夜は
僕を飲み込む深い闇に
あなたの面影を投げ込んで
さざ波を立ててみる

たわむれる その波間
僕の悔いも不安も
たわいのないものとして
洗われて

静けさの中に
まどろみむ
明日へと続く夢

朝の陽射しに 優しい気分で
抱き起こされるまでの
つかの間の時間を


時として、忘れるがいい、辛いなら 悪くないから、君が責めるだけ

2022年05月24日 | 短歌
近頃は色々な物を覚えていなくて
自分の記憶に自信がなくなったりする日々ですが

以前は、大切にしていたものを
忘れて行く自分が許せずにいました

けれど忘れないでいたら
それはそれで苦しくて
身動きが取れなくなっていました

変に頑ななところがある自分
自分で自分を苦しめることが多いのですが
もしその時の自分に言えるとしたなれば
自然体でいいのだよと伝えたいと思います

汗ばんだマスクの中の息苦し 【季語:汗】

2022年05月21日 | 俳句:夏 人事
マスク生活にも慣れたところですが
陽射しも強くなり汗ばむようになると
やはりマスクが息苦しく感じられます

先日も随分と暑い日だったのですが
電車の中でマスクをしていたら
顔も汗ばみ自分の吐く息の熱気に
むせるようでした

いつの間にかマスクを着けていることが
自分の中で習慣になってしまって
顔の一部ではないのですが
眼鏡の存在に近くなっているように思います

マスクをしない生活が
遠い昔のことのようです

ヨット 【詩】

2022年05月19日 | 

「ヨット」

# 1

海原の白い帆
学生たちの練習

覚えたてのひらがなを
海の上になぞる
一生懸命な子供のようだ

透明な風
上手く捕まえる練習
やがて、残さずに帆に包んで
海の上を渡れるように


# 2

風を捕まえて膨らむ白い帆

見えないものを
捉えられる力は
僕も欲しいな

例えば何もない空間から
苦もなくカードを取り出す
魔術師のように
思いがけない
言葉を取り出したりしてね

残念ながら
僕には感じられないものが
あまりにも多いようで

羨ましげに
白い帆を見るばかりだ


こんな場所似合わぬ気もして美人草 【季語:美人草】

2022年05月14日 | 俳句:春 植物
歩いていると
工事現場の片隅にヒナゲシが咲いていました

その側には青い大きなゴミ箱が置いてあったので
可愛らしい花とのコントラストに
一瞬足を止めました

もともとそこに咲いていて
種が零れた後から工事が始まったのか
なぜそこで花をつけていたのかは
分からなかったのですが
ちょっと不遇な扱いに
場所を移してあげたい気持ちにもなりました

夜の鍵盤 【詩】

2022年05月12日 | 

「夜の鍵盤」

心に流れるのは
物憂いだけの響き
僕の音色は何処にあるのだろう

闇に突き上げる両手は離れ
手首から重力に逆らい
虚空を這って行く
見えない糸に
吊り上げられるように

体はぐったりと
屍のように疲れているのに
寂しい目玉は暗闇に
その手を凝視して動けない

母親の胸元を
まさぐるように不器用に
時には溺れ苦しむように
動く指先の求めている
眠り誘う夜想曲
あるいは
永遠の墓標の鎮魂歌
光りの洪水の交響曲

窓辺に寄せる月光に
青白く光る指の関節
蝋人形のような手のひら

いたずらに歳を重ねて
夜な夜な闇に動めき
でたらめな音符を連ねる
哀れな生き者の定めに

闇夜に浮かぶ白い鍵盤を
今宵も押してみるのだ
静けさに響き消え入りそうな
やるせなき低音の最弱音


明日へのノート、君らは投げやりな言葉書く、まだ、沢山の明日 【短歌】

2022年05月10日 | 短歌
子供たちが中学でもらってきている
明日へのノート
毎日の勉強の状況や感想など
振り返りが出来るようになっていて
良く考えられるなと感心するのですが

子供たちにとっては
単なる厄介なものなのか
投げやりに書いて済ませています

まだまだ、将来へのことを言われても
しっくりとは来ないのでしょう

毎日の積み重ねと、将来への希望が
人を遠くへ導いてくれることなど
まだまだ、分からない子供たち

きっと将来のことも
様々な選択肢を思い描いているのでしょう
あるいは僕もそうだったのですが
目の前のことばかりで何も考えていないとか

何か小言を言っても
煩いと返されるばかりなので
その様子を伺っています