風のささやき 俳句のblog

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過ぎたこと、何度でも、やり、直せるさ 夕日、霞んだ、涙、もうしない 【短歌】

2023年05月30日 | 短歌

過ぎたことを思い出しては
後悔を繰り返すことの多い自分です

子供には、失敗を次に活かせなどと
偉そうに説教を垂れている割には
自分がそれをできていません

後悔しても
時間が戻ることもないので
何度でも始めからやり直せると
思うようにして頑張っています


老木がまたいじらしき芽立ちかな 【季語:芽立ち】

2023年05月27日 | 俳句:春 植物

木が芽吹き
自転車で走ったりしていると
若々しい色をして目を楽しませてくれます

芽立ちの時分の
木々の姿はとてもいじらしく見えます

きっと僕よりも長く生きている
老木も多いと思うのですが
いつまでも健気さと若さを失わず
自分も見習わなければいけないなと
木々を見上げます


夜のみの虫 【詩】

2023年05月26日 | 

「夜のみの虫」

青白く光る涙が
哀れに糸を引く
僕は夜のみの虫です
闇の中を宙ぶらりんに
夜風に吹かれている者です

僕を吊るすのは細い透明な糸
切れたときには地面にぶつかり
この身は四方に飛び散ります

そんなみの虫がたくさん
大木の枝にはぶら下がり
月影を浴びて揺れている
景色はこんなにも寂しげです

星屑を吐き出して
高貴な者もおりますが
たいていは哀れなゴミ屑をまとい
身一つだけがやっと入れる家の中
身動きも苦しく過ごします

ときおりは聖書のお祈りや
お経を唱える声もしますが
独り言のようで
真剣味のないものも多いので
不協和音の音楽です

大木には美しい紫の花が
咲いて香ることもありますが
そこへと動くこともままならず
みのから臆病に顔を出し
うらやましげな顔をして
気まぐれな風に
弄ばれるばかりです


早く起き、あなたの瞼、触れる初夏 まなざす、素敵に、ときめく前に 【短歌】

2023年05月23日 | 短歌

朝の日差しが眩しくて
一人で目を覚ましました

隣に寝ている人は
静かな寝息を立てたまま

その人のまなざしは
自分にはとても魅力的に見えて
それが何故なのか不思議

まだ閉じられた瞼に触れて
その秘密を探ろうとしました

起こさないようにと
恐る恐ると

 


暴れる心に 【詩】

2023年05月18日 | 

「暴れる心に」

思いはときどき
 胸のうちにとどまらない
  溢れて流れでてしまう
   まるで一匹の獣の荒々しい勢いで

襲いかかるつもりではない
 傷つけるつもりではない
  ただあなたと別々の心模様で
   その埋められない距離にもがいてしまう
   
止める術を失くして
 ただ呆然と見ている
  僕ではない誰かが
   あなたに向かう
    暴れる心で言葉で苛む

苦し気なあなたの顔は
 物言いたげに唇が撓み
  悲しい色の瞳が
   音もなく僕を離陸する

分かっているはずなのに
 鈍器のような言葉を振り回せば
  あなたの白い肌はうっすらと赤く
   心はますます遠のくことを

人は何故人を
 傷つけることをするのだろう
  大切なはずの人を
   強く胸に抱いていたくて
    その思いが強すぎて

あなたはあなたの
 苦しさを堪え
  それでも微笑を湛える
   僕の目を真っ直ぐに見る
    何も言わずに頷いた

脆弱な心が恥ずかしい
 この暴れる心を
  飼いならすことが
   僕の成すべきこと
    大切なあなたを守ること
     唇を真一文字に思う

だけどやっぱり
 心が弱くなるときもあるから
  あなたを頼ってもいいですか

何も言わずにあなたが
 肩を寄せてくれることを祈る


藤垂るる思い重ねて老夫婦 【季語:藤垂るる】

2023年05月13日 | 俳句:春 植物

藤棚の下に、高齢のご夫婦が座って
何やら楽しそうに話をしていました

天気の良い日だったので
藤棚の下の日陰に入って
休んでいだのでしょう

きっと、仲良く過ごされてきたのでしょうね
話す話題にも尽きないのでしょう
風も穏やかで心地よく
二人を遠巻きに包むようでした

自分もそんな二人を
見習いたいなと思っていました


都会の公園 【詩】

2023年05月11日 | 

「都会の公園」

わずかばかりの緑に囲まれた
都会の公園には
どんな甘い蜜が
塗られているのだろう

関わりあいのない人たちが
蟻のようにどこからか群がっては
ベンチに座り根を生やす
それぞれの生の重さに放心した目で
ビルが狭める空を眺める

毎日が消化しきれない
それでいて代り映えもない
今日も朝は不機嫌に目覚めて

ときには誰かを切り刻みたくなる
狂気さえ体の芯に感じて
日に日に惰性に削られて
痩せ細る気持ちを引きずって

心に馴染む解は見えてこない
額には錨のように悩みが重い
転ばないようにうなだれて
人の多すぎる道を歩く

生活のために切り売りした
夢の断片は安く買いたたかれる
二束三文で誰かの夢と
一緒くたになり店先にならぶ

都会の公園は避難場所
幸運のおこぼれが
落っこちてこないものかと
空を見上げたとして
そんな空想には
誰もが無関心なまま
糸が切れた自分にほっとする
誰にも操られない気楽さに体が軽い

けれどまた
絡み取られる自分であること
確かめ一つ溜息をついて
ベンチから立ち上がるために
またこうして
この公園に集まるのです


久しぶり、あなたの声を、聞きたい夜 素直がいいと、僕をぶつける 【短歌】

2023年05月09日 | 短歌

久しぶりに友達に
連絡をしようか
ちょっと迷っていました

どちらかと言えば自分は
迷惑をかけるのではと言う思いの方が
先に立ってしまうので

そうした場面では躊躇して
ついつい連絡も取らずに
関係が途絶えてしまうときもあります

素直に声を聞きたいと
自分の気持ちをぶつければいいと開き直り
連絡を取ると、相手も喜んでくれたようでした

こちらから心を開くことは
とても大切ですね