風のささやき 俳句のblog

訪問ありがとうございます
オリジナルの俳句を中心にご紹介しています
詩や短歌も掲載しています

手の上に初夏の光りと観覧車 【季語:初夏】

2018年05月26日 | 俳句:夏 時候
友人と話しながら道を歩いていました
住宅の間にところどころ畑がある土地
畑の緑もすっかりと濃くなっています

少し離れた山の方には観覧車が見えました
僕も一度ぐらいは行ったことのある
遊園地がある場所

観覧車を見ていると
少しづつですが動いています

僕は友人を笑わせようと
目の錯覚を利用して
観覧車を自分の手の上に
載せているように見せました

友人はクスリと笑いながら
眩しそうに僕の手の上の観覧車を眺めていました

自転車の勢いもあり植田かな 【季語:植田】

2018年05月19日 | 俳句:夏 地理

田んぼには
植えられたばかりの苗が顔を出し
爽やかな風が楽し気に触ります

苗が小さく
覆うもののない水面は
うっすらと緑に色づく鏡のよう
風景が綺麗に写し取られて
白い雲がゆっくりと流れます

その精緻さは
走り抜けた子供の
自転車の勢いさえ見逃さず

車体の照り返し
子供の顔の表情さえ
逃すことなく写し取っていました


怒り来て若葉に会いて息をつき 【季語:若葉】

2018年05月12日 | 俳句:夏 植物
少しイライラとする出来事があり
頭に血が上ったまま道を歩いていました

さっきまでの出来事を何度も思い返しては
腹を立てたりしていたのですが

いつの間にか萌黄の葉をつけた
街路樹に気がつき見上げていたら
春風に吹かれる若葉の楽しさに
自分の怒りがつまらないものに思えてきて

自然と大きな息が一つでてきました
そうして鎮まった胸で
家までの道をまた歩き出しました

大風やたんぽぽ空へ促しぬ 【季語:たんぽぽ】

2018年05月05日 | 俳句:春 植物
その日は朝から
随分と風が強く吹いていました

いつも乗っている電車も
その風の影響で遅れる始末

道を歩いていても風が冷たく感じられて
着ているジャケットの胸元を押えていました

そんな強い風につかまっては
旅立ちを戸惑っていたタンポポの綿毛たちも
ひとたまりもありません

次から次へと
空に旅立って行き
直ぐに見えなくなっていきました