風のささやき 俳句のblog

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スマホ見る君が宣する梅雨の入り【季語:梅雨】

2024年06月15日 | 俳句:夏 天文

強い陽ざしに汗ばむ日々から一転
肌寒い雨模様の日が多くなり

晴れ間を狙って
布団を干したりしています

梅雨入りの日は
夜遅くまで仕事をしていて
一緒に帰った人から
今日から梅雨入りだと聞きました

その手にはスマホを持っていて
ちょうどその時に調べたようです
便利と言えば便利なのですが
ちょっと趣がありませんね

その日から愚図ついた
空模様が続いています


束の間に乾く敷布や夏の風 【季語:夏の風】

2024年05月25日 | 俳句:夏 天文

陽射しがいよいよと強くなり
その下にさらされると
目玉焼きのようにジュッと
一瞬で焼かれるような感覚になります

それでも洗濯物には
その陽ざしや風は本当に便利
家の洗濯機の乾燥機能も
残念ながら負けです

大きな敷布もここぞとばかりに洗い干すと
あっという間に乾きます

寒い時分には長々と外に干しても
いつまでも湿っていた敷布なのですが


長梅雨やいつまでも寝る子の寝言 【季語:長梅雨】

2023年06月17日 | 俳句:夏 天文

休日を何処に出かけるでもなく
ダラダラとしていた子供たち

自分もなのですが
天気もすっきりとせず
家の中でまったりと過ごしました

子供たちはお昼近くまで寝ていて
声をかけてもなかなか起きてきません
若いからと言うこともあるのでしょう
思い返すと自分もいつまでも寝ていたなと思います

子供たちが静かなうちに
家を片付けたりしていたのですが
はっきりと聞こえてきた子供の声

起きたのかなと思ったら寝言でした
どんな夢を見ているのかしらと
可笑しく思いながら
片付けを続けました


水やらぬ鉢をここぞと梅雨の庭 【季語:梅雨】

2023年06月10日 | 俳句:夏 天文

雨模様の日々
普段は水をやることを忘れて
ぐったりとさせることも多い
鉢植えの植物たちを
ここぞとばかりにベランダに出しています

大きな如雨露を傾けるように
空から落ちてくる雨の恵みを
鉢植えたちは確かに感じているようで

僕の怠慢によりぐったりと
萎れかけていた葉が
生き生きとしています

それを見るたびに
自分の不作為にすいませんと
罪悪感を覚えます

やがて梅雨が終わると
また強い陽ざしが差して
その強さにやられる植物もいるので
タイミングをみて
家に避難させたいと思います


走り梅雨まだ荒れ果てぬ海の顔 【季語:走り梅雨】

2023年06月03日 | 俳句:夏 天文

梅雨の話題も増えて
これから雨が続くのかと思い
その前にと自転車で
近くの浜辺に出かけました

前の日まで雨が降っていた割には
海はいつもとまだ
さほど変わらない表情をしていました

雨が続くとどんな顔になるのか
もっと険しい顔をするのか
あまり想像できないでいました


君まだでベランダに出る夏の霜 【季語:夏の霜】

2022年07月23日 | 俳句:夏 天文
その日は明るい月が空に輝き
辺りも銀色に照らされていました

もうすぐに12時を回る時間になっても
仕事で遅くなっている人を
大変だなと思い待ちながら
その姿でも見えないかとベランダに出ました

すると僕も月の灯りに照らされて
銀色に染まり
辺りの静けさと一体となるようでした

驟雨来て初めて潜るメトロかな 【季語:驟雨】

2022年06月04日 | 俳句:夏 天文
突然の雨が降ってきました

会社を出るときにはポツリと
雨粒が感じられる程度だったのですが
急に雨脚が強くなりました

このままいつも使っている地下鉄の駅まで行けば
びしょ濡れになりそうです

仕方なく、近くにできた
新しい地下鉄の駅の入口に逃げ込みました

そこから地下を通って
いつもの駅に行けると思っていたのですが
初めてということもあり行き方がわからず
もう一度来た道を戻ったりとうろうろ

結局、その入り口からは通り抜けができず
雨が少しおさまってきたところで
また外の道をかけて行きました

夢にまで沁み入る今朝の梅雨の音 【季語:梅雨】

2021年06月26日 | 俳句:夏 天文
僕が眠りについた頃からでしょうか
窓の外には雨が降っていました

その雨音のせいでしょうか
寝苦しい夢を見ました

うろ覚えだったのですが
その中でも雨が降っていました

ここのところのすっきりとしない空模様は
胸の中にも入り込んで
いつしか夢までも侵食したのでしょうか

朝目覚めると
雨が降っている外を
がっかりとした様子で眺めている子供
大好きな散歩が中止ということが
直にわかったのでしょう

今日も持て余した力を
家の中で発散させていました

ビルとビル境を無くす梅雨の町 【季語:梅雨の町】

2021年06月19日 | 俳句:夏 天文
その日は日永
シトシトと雨が降っていました

すべての物音は
落ちてくる雨粒が吸収してしまったように静かです

あるいは雨の音が
他の雑音を包み込んでしまったのでしょうか

視覚的にも雨は町に変化を与え

普段は角ばって輪郭がくっきりとした
ビルとビルもその肩を濡らし
輪郭もしっとりと膨らんで
その境が曖昧となり

まるで町一面が灰色に押し込められた
絵画のように見えていました

過ぎ去れば皆懐かしき夏の空 【季語:夏の空】

2020年07月18日 | 俳句:夏 天文
夏の空を見上げていると
どこか遠い郷愁に呼ばれます

子供の頃に見ていた
夏の空への憧れが
また蘇ってくるからでしょうか

子供の時分は
その空の向こうに
何か素敵な事が自分を待ち受けているのではと
疑わずに思っていられました

今では色あせたその憧れも
夏の空に向っていると
またカタカタと動き出して

けれどそこには戻れないことを
知っている心は
その動きを押さえ込もうとして

ただ微かな甘酸っぱい余韻だけが
僕の中に漂います