風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

雨ふらば一足進める秋にあり 【季語:秋】

2020年08月29日 | 俳句:秋 時候
しばらくの間
仙台でもぐずついた天気が続いていました

夜になると激しい雨が降ったりと
傘を忘れた時など
ひどい目にあったこともありました

そんな雨の翌日は
秋が歩みを進めたように
一層涼しく感じられます

空を見上げるとすっかりと秋の空
雲も夏のそれとは
明らかに違っています

仙台では東京よりも秋の歩速が早く
冬が足早に近づいてくる実感があります

美しき言葉の上に眠るにはあまりに苦き僕の舌 【短歌】

2020年08月26日 | 短歌
美しい言葉だけを語り過ごすには
あまりにも苦い出来事も
知ってしまった僕の舌

もう綺麗な言葉の羅列の上で
それに満足していられることは無いようです

それに言葉は思った以上に不自由で
自分の思いの半分も届かない時もあり
僕の口から離れていった言葉に
後悔を覚えることも少なくありません

それがいいこととは決して思わないのですが
一度覚えてしまった苦さは忘れることもできず

僕の口から言葉が流れ出た後には
どこか後味の悪いものが
いつも残っている気がします

薄藍の舞う影静か秋の蝶 【季語:秋の蝶】

2020年08月22日 | 俳句:秋 動物
小さな茶色の羽の蝶が
柔らかな秋の陽ざしの中で
空を舞っていました

時々は花にとまり
静かに蜜をすい
それから次の花に渡っていくのですが

自分の力で舞うというよりは
風に流されているような頼りなさです
体の力も尽きてきているのでしょうか

その命が長くはないことを伝えるように
羽ばたく姿が地面に落とす影も
どこか薄い色をして
哀れな感じを覚えさせました

まだ見ない二人の子に 【詩】

2020年08月20日 | 
「まだ見ない二人の子に」

明日僕らの世界に顔を出す
ほんとうはまだ
お前たちはお腹の中にいたかったかい

二人で温かい羊水に包まれて
蹴りあったり泳ぎ回ったりと
幸せな時間をまだ
繰り返していたかったかい

お前たちを楽しませるものは
この世の中にも
沢山あるよ
暖かな太陽も青い空も白い雲もそうだし

そうして及ばずながら
僕ら二人も
お前たちのことを精一杯
守ってあげるから
安心して僕らに会いに出ておいで
一緒の時間を楽しく
これから過ごしていくために

また人といて気詰まりを感じてる外の空気がやたら恋しい 【短歌】

2020年08月19日 | 短歌
人といると気詰まりを感じてしまうことが
往々にして多い自分です

言葉が途切れてしまうと
何か居心地の悪さを感じてしまい
話をつなげなければと焦るのですが
言葉がなかなか出てこない時も多く
勝手に気まずくなっている自分がいます

そんな時はこの場所から解放されて
早く外に出て
外の空気を吸いたいと
そんなことを思ってみたりします

けれど中々解放されない時には
ちらちらと窓の外を気にする自分がいます

新涼や子供咳き込み閉ざす窓 【季語:新涼】

2020年08月15日 | 俳句:秋 時候
仙台に暮らしていたころ
夏場は窓も全開にして眠っていたのですが

8月も半ばを過ぎると朝夕は涼しく

一緒に眠っていた子供が
夜中に咳をしているので窓を閉じました

風邪がまだ直ったばかりで
ぶり返されてはまずいと
眠い目をこすりながらでしたが

自分の肌にも寒さを感じていました


祈りに 【詩】

2020年08月13日 | 
「祈りに」

昨日の夜は
ベッドの中でなかなか眠りにつけず
僕は随分と祈っていたんだ
祈れると僕が思える
すべの亡き人の名前を並び立てて

もちろん亡くなった母には殊更に
お前たちをこの世に
無事に送り届けて下さいと

泣き声も大きく
手術室から運ばれて来た二人

その元気な顔を見ることができた時
お前たちはたくさんの力に守られて
この世に産まれることが出来たのだと
心から信じている僕がいた

美しさ胸貫けば高鳴りてこの世の讃え歌に響かす【短歌】

2020年08月12日 | 短歌

雲の合間から
一筋の光が差し込むように
美しいものに胸が貫かれる時があります

必ずしも特別な瞬間ではなくて
青い空を眺めたとき
夕暮れの赤い色に染められたとき
震える心は歌い出そうとします

けれどそれも束の間のこと
すぐにいつものどんよりとしたものが
心を覆って歌も隠れてしまいます

天からの贈り物のような
そんな美しさを心に抱きながら
自分らしく歌えればどんなに良いか

今日もその道筋はわからず
鬱蒼とした心に閉ざされています


なまはげに怯え泣きべそ夏休み 【季語:夏休み】

2020年08月08日 | 俳句:夏 人事
自分の子供たちの夏休みの一番の思い出は
きっと男鹿半島に行って
なまはげを見たこと

自分は行けなかったのですが
随分と怖がって泣いていたようです

それ以来
子供が言うことを聞かない時は
鬼が来るよと告げると大人しくなります

いつまで有効なのかは分からないのですが
かなり記憶に残る出来事であったことは
間違いが無いようです

変なトラウマにならなければいいなと
心配もするのですが