風のささやき 俳句のblog

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夕映えて稲架は誰待つ蓑の影 【季語:稲架】

2017年09月30日 | 俳句:秋 人事
刈り入れの終わった稲が
青空の下で
稲架に乾かされていました

実りの季節を迎えて
一年の大きな仕事が終わった安堵の心持に
すべてがその身を委ねたように
穏やかな風景が広がっていました

やがて日も暮れて
足早に山の向こうへ夕日が帰ろうとすると
稲架に干されていた稲が
蓑を被った人の群れのようなシルエットになり

誰かを一心に待ちわびているようで
僕は一人でその姿に胸を打たれていました

曼殊沙華赤き姿の隠し場所 【季語:曼珠沙華】

2017年09月23日 | 俳句:秋 植物
川べりを散歩していたら
真っ赤な曼珠沙華が咲いていました

遠くからでも分かる
その鮮やかな色合いと独特の形状と

僕は花に近づくと
花ビラに触れようと手を伸ばしました

するとそこには
静かに羽を休めるトンボが一匹

僕は驚いて手を引いたのですが
色合いも似ていたので分かりませんでした

曼珠沙華はトンボにとって
気づかれにくい隠れ場所なのだろうなと
思っていました

秋嵐被害は毛虫の死骸なり 【季語:秋嵐】

2017年09月16日 | 俳句:春 時候
先日随分と風の強い日がありました
幸いにも天気は良かったので
散歩をしようと出かけました

歩いていると街路樹が
時折音を立てて揺れます
頭上の方では地上よりも
少し強く風も吹くのでしょうか

さらに歩いて行くと
路上に茶色の毛虫が一匹
死骸となって落ちていました
この風も毛虫には大風だったのでしょうか

一瞬驚いたものの
勢いのついていた足は止まらず
僕はその毛虫の側を歩き去りました

肌に風楽しい頃や白芙蓉 【季語:白芙蓉】

2017年09月09日 | 俳句:秋 植物
晴れた日には
まだまだ太陽の日差しは強く
外に出るのが億劫に感じられますが

それでも風は澄んだ秋の爽やかさを含み
肌に風が楽しく感じられます

それで散歩する足も軽やかに感じられて
考えてもいなかったところまで
歩いて行ったりするのですが

初めて通る曲がり角の
大きな家の庭に
見事な白芙蓉が咲いているのに気がつきました

その清楚な様を眺めると
一層楽しく感じられて
しばらく散歩を続けていました

昼寝から目が開かないよ鰯雲 【季語:鰯雲】

2017年09月02日 | 俳句:春 時候
気持ちのいい午後でした
肌に心地よい気候に
いつの間にか僕は
うつらうつらと椅子の上で
眠りに落ちてしまいました

少し疲れていたのでしょうか
それとも気持ちがよかったからでしょうか
目を開けようにもなかなか目が開きません

時折うっすらと開くと
目の上には鰯雲がゆっくりと渡って行くのですが
そののどかさに
また目をつむってしまうだけの午後でした