風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

冬晴れの木の影等しき淡さかな【季語:冬晴れ】

2024年12月14日 | 俳句:冬 天文

冬晴れの日に
三男を連れて近くの公園に行きました

自転車が借りられる公園で
たまに三男を連れて来ては
練習をさせています

楽しそうに自転車を走らせる
三男を横目に眺めながら
背の高い木々と
それが地面に落とす影を見ていました

影は冬の日差しの弱さに比例するように
どれも淡い色をして
日向の部分との差異も
あまりはっきりとはしないほどです

そんな淡い色彩の風景の中で
三男の自転車だけが
疾走していました


雪背負う田舎のバスの煤けよう 【季語:雪】

2024年01月27日 | 俳句:冬 天文

子供たちについて
雪深い道をスキーに出かけました
メインの車道はきちんと雪かきがされていて
これならば慣れぬ僕のような者でも
運転ができるかなと思うのですが

ちょっと脇にそれて
雪かきが中途半端な道に入ると
ちょっと運転には自信がもてません

そんな雪景色の中を
大きなバスも走っていきます
雪を車体の上に載せてどこか重そうに
そうして泥が跳ね散った車体で

ただでさえ古びた感じのバスが
余計に古臭く今にも壊れてしまうのではと
感じられるほどでした


凛といて君の光と冬の星 【季語:冬の星】

2024年01月20日 | 俳句:冬 天文

夜、ベランダに出ました
バスタオルを干していたのですが
それを取り込むのを忘れていました

夜空を眺めると
雲一つなく、晴れて星が良く見えました

夜空に凛として身じろぎもしない星
まるで僕に進む方向を指し示す標のようです

その冬の星の姿は
大切な人の姿と重なります
僕を高い処へ導いてくれるその姿と

しばらくは、冬の星と向き合っていた自分ですが
寒さを感じて、バスタオルを手に
家の中に逃げ込みました


牡丹雪時々外を見るほどに 【季語:牡丹雪】

2023年01月28日 | 俳句:冬 天文
雪が降った日のこと

最初は大したことのなかった雪が
段々と本降りになり
ぼとぼとと空から落ちてくる感じになりました

僕はその雪が気になって
ちょくちょく窓際に行っては
寒いのに窓を開けて外を眺めていました

しばらくは続くのかなと思っていた雪は
けれど勢いをなくして
ただ灰色の空だけが残りました

唇を閉ざし心もしんと雪 【季語:雪】

2023年01月21日 | 俳句:冬 天文
雪が降った日のこと

外に用事があって出かけたのですが
寒いので自然と口元も
固く閉じられて
俯き加減に早足で歩きました

雪の街は音も静かに
それに合わせるように
普段は騒いでばかりの
胸の内も静かになりました

普段からそんな静けさを
保っていられれば
色々と慌てふためくこともないのでしょが
雪に諫められないと
騒音もなくならないよう

それでいつもは
落ち着かないでいる自分です

風疼く逃がす植木の狭き部屋 【季語:風疼く】

2022年12月10日 | 俳句:冬 天文
少し暖かな日が続いたので
鉢植えをベランダに出して
水を上げたりしていたのですが

また風が冷たく感じられてきたので
家の中に鉢植えを入れました

ただでさえ物の多い家の中
置場所にも困るのですが
霜でもたったら可哀想だなと思い
避難させたものです

以前はベランダ一杯に鉢植えがあったのですが
上手く面倒が見れずに
少なくなってしまいました

せめて残った鉢植えは
大切にしなければと過保護にしています

雪の朝赤き車の誇らしげ 【季語:雪】

2022年01月22日 | 俳句:冬 天文

朝から雪がちらついた日のこと

その日は歯医者の予約を入れていたので
セーターやらをたくさん着こんで
家を出ました

ドアの外に出ると
外気が肌に少し痛く感じられます

とある交差点で立ち止まると
雪で白くなった景色の中
目の前を一台の赤い車が横切りました

急に飛び込んできた
雪と鮮やかなコントラストをなすその色は
眠気を覚ますような新鮮な感じで

その車自身も
今日の主役は自分だと言うように
誇らしげに雪を押しのけ横切っていきました


時止める術を見せてや夜半の雪 【季語:雪】

2022年01月15日 | 俳句:冬 天文

雪の降る秋田で過ごした時のこと

ほぼ毎日雪が降り
あたり一面が銀色の雪景色
子供たちは大喜びでしたが
外に出ると直ぐに寒いと言って
家の中に入って来ました

都会の子供だなと
ちょっとそのひ弱さが
心配になりました

もっとも風が強く雪と混ざると
大人の自分でも逃げたくなったので
仕方がないのでしょうが

その夜のことでした
寒さに目覚めトイレにでかける途中
窓の外を眺めると
オレンジの街灯の下に
静かに降り積もる雪

その風景は昔から続き
これからもずっと同じであるようで
まるで時間が止まっているように見えました


冬の風饒舌な子も形無しで 【季語:冬の風】

2021年12月04日 | 俳句:冬 天文
以前、自転車に子供たちを乗せて
保育園に向かったときのこと

風が冷たく感じられるので
寒いねというのが
自転車の上での会話の始まりでした

朝なのでついつい急いで
ペダルを踏む足にも力が入るのですが
その分風が冷たく感じられ

前のシートに乗っている子供は
まともにその風を受けるので
思わずうつむいてしまいます

普段は饒舌な二人ですが
ついつい寒い風に
口を閉ざされがちの冬の朝です

交差点初秋風に首さらす 【季語:初秋風】

2021年08月28日 | 俳句:冬 天文
仙台にいた頃
買い物を思い出して外に出ました

いつものようにTシャツに
短いズボンの出で立ちだったのですが
風がどこか肌寒く感じられて
ちょっとびっくりでした

周りを見ると僕のような軽装の人はおらず
しまったと思ったのですが
家に引き返すのもめんどうで
そのまま歩いて行きました

交差点で待っていると
一際秋を感じさせる風が吹き
まだ日焼けの跡の残る首を
僕はその風にさらし
秋の気配を感じていました