風のささやき 俳句のblog

訪問ありがとうございます
オリジナルの俳句を中心にご紹介しています
詩や短歌も掲載しています

七夕やまた積む叶わぬ願いかな【季語:七夕】

2024年07月06日 | 俳句:秋 人事

年を取ると叶わぬ願いも増えてきます
例えば、亡くなった両親のこと

もう少し親孝行をしてあげたかったなと
思ったりもするのですが
まさに後の祭り
もう短冊に書いても叶わない願いです

あまりにも叶わぬ願いに心を奪われると
後悔が胸に積り心も塞ぎこんでしまうので
意識的に思わないようにしているのですが

七夕の時などには
隠していたそんな思いが
胸の中にふと湧いてきたりします


祈ること止むことはなき原爆忌 【季語:原爆忌】

2021年08月14日 | 俳句:秋 人事
広島や長崎に
原爆が落とされてから数十年以上が過ぎ
毎年テレビの映像で
その様子を眺めるのですが
その度に胸に痛みを覚えます

静かに祈りを捧げる方々の胸中を思いやると
何の言葉も続かず
ただテレビの映像に合わせるように
祈りを捧げるばかりです

風化させてはいけない記憶
平和への思いを深く深く
胸に刻みつけなければと思います

籾殻のご焼香なり田に煙 【季語:籾】

2020年10月24日 | 俳句:秋 人事
あぜ道を歩いていたら
とある田で
籾殻を焼いているのを見かけました

近くまで行くとその煙で
目がちかちかとし
むせるような感じがします

籾殻は山のようにうず高く盛られており
煙を出している様が
どこかご焼香をあげているようです

玄米を大切に守ってくれた籾殻
その焼かれていく姿に
手を合わせて感謝したい気持ちにもなっていました

歯を欠いて新米どこか味気なし 【季語:新米】

2020年10月17日 | 俳句:秋 人事
ここのところ
毎週末は歯の治療を受けています

特に以前直した奥歯が
全体的に悪くなっていて
左右の奥歯を治療中ということで

まともに上下がそろっている
奥歯が一組しかなく
食事時にはちょっと苦労をしています

普段はあたりまえのように
ものを噛んでいる歯ですが
こうなるとその有難さがわかります

せっかくいただいた新米も
しっかりと噛むことができずに
どこか味わいも半減

早く直ってくれればと思います

夜明かしの血眼三日月染みており 【季語:三日月】

2017年10月28日 | 俳句:秋 人事
その日はやることが溜まって
夜通し仕事をするはめになりました

あまり眠らずにパソコンに向かっていると
効率も少しずつ落ちてきて
気分もイライラとしてきます

仕事の合間に鏡を見たら
目も疲れて充血しています

その後も眠気に朦朧とした頭で
仕事を続けたのですが

粗方やるべきことも終えて外に出ると
白み始めた空に
細い月が輝いていました

その冴えた明るさが
血走った目にしみるようで
思わず目を瞑ってしまいました

夕映えて稲架は誰待つ蓑の影 【季語:稲架】

2017年09月30日 | 俳句:秋 人事
刈り入れの終わった稲が
青空の下で
稲架に乾かされていました

実りの季節を迎えて
一年の大きな仕事が終わった安堵の心持に
すべてがその身を委ねたように
穏やかな風景が広がっていました

やがて日も暮れて
足早に山の向こうへ夕日が帰ろうとすると
稲架に干されていた稲が
蓑を被った人の群れのようなシルエットになり

誰かを一心に待ちわびているようで
僕は一人でその姿に胸を打たれていました