風のささやき 俳句のblog

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蒲公英や猫の額に点描す 【季語:蒲公英】

2024年05月04日 | 俳句:春 植物

駅の階段から見下ろせる小さな空き地
少し前までは何かがあったはずなのですが
それがすっかりと思い出せません
僕の記憶も当てになりません
ここの所、自信を持ってもの覚えが悪いと開き直れます

その空き地は春になり自然と緑に覆われて
その中に幾つかのタンポポが花を開いていました

猫の額ほどの小さな緑の空き地に
映えるタンポポの黄色
草の緑だけであれば、きっと立体感のない
のっぺりとした感じになっしまうのでしょうが
いいアクセントとなって
雑草の緑を引き立てていました


地下鉄の出口の先や芽吹く木々 【季語:芽吹く木々】

2024年04月27日 | 俳句:春 植物

いつものように
地下鉄の駅で降りて階段を上ろうと
出口の先を見上げました

するとどこかジメジメと感じられる
地下の暗さとは対照的な
明るい春の光景がありました

そうしてその明るさに
色を添えるような街路樹の新芽

寒い時分は地下鉄の通路もその階段の先も
代わり映えのしない薄暗さだったのですが
今は光の量の違いに
思わず目を逸らしてしまうほどでした


無理に手を取る口実とし花盛り 【季語:花盛り】

2024年04月06日 | 俳句:春 植物

花見と言えばそれを嫌がる人も少なく
誰かを誘い出すための良い口実です

ちょうど花盛りの頃
誘いたい人に声をかけて
その手を無理に取って連れ出した覚えもあります

桜はその無理強いも許してもらえる程に
見事に咲いていて心にも艶やかで
強引で図々しいという印象を和らげてくれました

もっともそれがいつも
通じる手ではないのでしょうが


靴の紐結び直すは花の陰【季語:花の陰】

2024年03月30日 | 俳句:春 植物

通勤途中のことです
靴の紐が解けていることに気が付きました

踏んで転んでしまそうだったので
結び直そうと思ったのですが
ちょっと先には花盛りの桜の木が一本あり
そこまで行ってからにしようと
足元に注意して歩きました

そうして桜の花の下まで行くと
根元の方で紐を結び直しながら
頭の上の桜を眺めていました


寄り添えることの可愛さ霞草 【季語:霞草】

2023年07月01日 | 俳句:春 植物

街角の花屋さんで
カスミソウを見かけました
いつ見ても可愛らしい花です

鉢植えのカスミソウで
その後、ベランダに置かれて
僕が水やりをしていたのですが
一つ一つの花というよりも
寄り添って咲いている様子が
可愛らしくありました

花は人の心を和ませてくれて
いらいらとしがちな心には
ありがたいですね


老木がまたいじらしき芽立ちかな 【季語:芽立ち】

2023年05月27日 | 俳句:春 植物

木が芽吹き
自転車で走ったりしていると
若々しい色をして目を楽しませてくれます

芽立ちの時分の
木々の姿はとてもいじらしく見えます

きっと僕よりも長く生きている
老木も多いと思うのですが
いつまでも健気さと若さを失わず
自分も見習わなければいけないなと
木々を見上げます


藤垂るる思い重ねて老夫婦 【季語:藤垂るる】

2023年05月13日 | 俳句:春 植物

藤棚の下に、高齢のご夫婦が座って
何やら楽しそうに話をしていました

天気の良い日だったので
藤棚の下の日陰に入って
休んでいだのでしょう

きっと、仲良く過ごされてきたのでしょうね
話す話題にも尽きないのでしょう
風も穏やかで心地よく
二人を遠巻きに包むようでした

自分もそんな二人を
見習いたいなと思っていました


花吹雪纏いあなたと巡る夢 【季語:花吹雪】

2023年03月25日 | 俳句:春 植物

夢の中で桜の花が舞っていました

華やかなその桜吹雪の中に
一人で佇んで
景色に見入っていました

どれぐらいしてからでしょうか
その花吹雪の中から
人影が現れました

昔はよく顔を見合わせていた
懐かしい人たち

その人たちと会って
久しぶりと会話を交わす夢でした

それだけの夢なのに
目を覚ますとどこか胸のあたりも温かく
もう一度目をとじて
その夢に浸ろうとしました

 # 2020 春に


ものの芽や苔の緑も今一段 【季語:ものの芽】

2023年03月11日 | 俳句:春 植物

茶色に変色して
枯れてしまったのかなと思っていた苔から
急に艶やかな緑が伸びてきました

何種類かの苔を
同じ鉢植えで育てているのですが
生育の差はあれ
どれも新しい緑が顔を出して
賑やかに見えます

普段は目立たない苔の世界でも
季節の移ろいが見られるとは
面白いものだなと思います

ここの所は
毎日のようにじっと苔の鉢をのぞき込んいるので
家族から変な目で見られます

 # 2020 春に