風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

荷物【詩】

2024年05月30日 | 

「荷物」

一人で持つ重たい荷物
いつの間にか強張った筋肉が
痙攣をしている

疲れてしまった腕だ
荷物は思い切って
降ろしてしまおうよ

頑張りすぎて
心も悲鳴をあげている
笑えなくなった顔は
能面のように硬い
緩める術を覚えよう

僕が持てない荷物は
きっと誰かが
持ってくれる
僕の後ろから一緒に
何の苦もなくついてきてくれる

重い荷物を軽々と持って
あるいは僕と手分けして
冗談の一つも言いながら
話しかけてくれる

頑張りすぎなくても
きっと大丈夫
僕がもてない重い荷物は
素直に手放せばいい
顔を真っ赤に
やせ我慢はしないで

きっとそれを持ってくれる
力持ちがいる
それに早く
気がつくだけでいいのだから


ハッカ飴、がりり、清涼、初夏の空、緑の風と、口笛、競演 【短歌】

2024年05月28日 | 短歌

口にはここのところ
お気に入りとなっているハッカ飴を齧り
近場に散歩に出かけました

風が心地よく
口の中に広がるハッカを肌の上にも感じるようです

僕はもっとその清涼感が欲しくなり
がりっとまだ大きな飴をかみ砕き
今はその爽やかさでは負けないつもりの
自分の息で口笛の音色を奏でました
木々の緑に染まった初夏の風と競い合うように

そうして空の下を川の流れに沿って
歩いていました


束の間に乾く敷布や夏の風 【季語:夏の風】

2024年05月25日 | 俳句:夏 天文

陽射しがいよいよと強くなり
その下にさらされると
目玉焼きのようにジュッと
一瞬で焼かれるような感覚になります

それでも洗濯物には
その陽ざしや風は本当に便利
家の洗濯機の乾燥機能も
残念ながら負けです

大きな敷布もここぞとばかりに洗い干すと
あっという間に乾きます

寒い時分には長々と外に干しても
いつまでも湿っていた敷布なのですが


怒り【詩】

2024年05月23日 | 

「怒り」

片付けない子供たちを
叱った「だらしない」が
行先をなくして部屋に漂う

怒りは美味しくない
誰も喜んで食べようとしない

胸の大きな怒りの塊
吐き出して僕だけは
せいせいとして

子供たちは「だらしない」を
聞かなかったふりで
テレビを見ていた


初夏の風、重ねた布団で絵本の子、何時の間に寝た、髪だけ左右す 【短歌】

2024年05月21日 | 短歌

その日は天気も良く
朝から布団を干しました

そうして午後の時間に
布団を部屋の中に入れて積み上げると
それを目指してやってきた子供

陽射しを沢山吸い込んでいるので
温かく、フカフカの布団の中に
早速飛び乗り体を埋めました

本当はそのまま布団を
敷いてしまおうかと思っていたのですが
子供が干したての感触を楽しんでいるので
そのままにしておきました

気が付くと本を読んでいた子供は
いつの間にか目をつむり
気持ちよさそうに寝ています

動かなくなった子供の
髪の毛だけが
部屋に入る風に揺れていました


にわか雨生々しき香や初夏の草【季語:初夏】

2024年05月18日 | 俳句:夏 時候

少し前までは、布団も干せるほどに
陽が射していたのですが

西の方から黒い雲が近づいてきて
ほどなく雨に混じって
雹も降り始めました

それを見ていた子供たちは
おっかなびっくり
ベランダに出て
その雹をつまんだりしていました

それも20分程度のこと
すぐに黒雲は通り過ぎて
また太陽が顔を覗かせました

買い物に行くと
濡れたアスファルトには
少しの水たまりも出来て
そこに太陽が陽ざしを映し

伸び始めた雑草の類の
生臭いような匂いが
辺りには立ち込めていました


母の日の似顔絵【詩】

2024年05月16日 | 

「母の日の似顔絵」

誰よりも幸せな顔をした
二枚のママの似顔絵

いつからこんな色彩が
君たちの心にうまれ
指先から溢れるようになったの

二人の子供の
四つの眼差しが
いつでも注がれている
たった一人のかけがえのない
笑った母の顔

確かにそこにあるという
ゆるぎない証の絵


気づきたくないけどつまらぬことばかり懸命でいる僕の懸命 【短歌】

2024年05月14日 | 短歌

自分のこだわりはつまらないことが多いです
それで一生懸命になるのですが
後から考えると
それが何だったんだろうと
自己嫌悪に陥ります

もう少し意義のあることにと思うのですが
そんな賢い時間の使い方はできなくて
どうでも良い事に煩い、囚われている自分に気づきます

駄目ですね、そんなことで一生懸命になっていては
それでもそれが僕の懸命であって
あがいている上手くいかない自分がいます


ゴールデン・ウィーク髭ともおさらばし 【季語:ゴールデン・ウィーク】

2024年05月11日 | 俳句:春 人事

ゴールデンウイークは
近場に買い物に出かけるぐらいで
家で漫画を読んだりダラダラと過ごしました

ちょっとした休みだったので
無精ひげも伸ばして
何処まで伸びるかなと試してみたのですが
最後の方で気持ち悪くなり
休みが終わる前に剃ってしまいました

その髭と同じように
ゴールデンウイークなんて
そんなものがあったのかしらと思えるぐらい
また慌ただしい日常が戻ってきました


明日のあなたに【詩】

2024年05月09日 | 

「明日のあなたに」

ある晴れた夏の初め
爽やかな風の吹く午後を
あなたと肩を並べて歩ければ
それだけで満足をして

街路樹の木洩れ日
その陽射しに照らされるあなたの
キラキラとした横顔
その眩しさがただ嬉しくて

青い空は今にも手が届きそうだった
腕を伸ばして
明日の空をつかまえようとした
あなたとまた迎えたいから

ただそれだけでいいのだけれど
ただそれはあなたしかいなくて

覚えているかしら
青白い満月がのぞいた窓辺の会話
そこに浮かび上がる
あなたのシルエットを抱きしめて
交換した体温と鼓動
それからの日々

あなたに会えない時間
一人で眠る闇の濃さ
肩にもたれかかる寂しさが
そのまま胸の奥にまで倒れてくる

あなたの瞳をのぞかない日は
もう考えられなくなって
その声を聞かない明日は
もどかしすぎて

夜明けに悲しい夢を見て
目が覚めるとしたならば
その横にはあなたがいる
安心してその胸に眠ることにして

あなたと分かち合える
明日があるならば
それだけが欲しくて
あなたのいない明日を
もう考えることはできなくって
明日もあなたの笑顔に会いたい