風のささやき 俳句のblog

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秋桜があどけなくいる墓参り 【季語:秋桜】

2014年09月27日 | 俳句:秋 植物
週末のお墓参り

晴れ上がったもののその日は
何故か特別に寒く
空も秋の音色に満たされていました

墓地につくといくつかのお墓に
コスモスが高く伸びて
色とりどりの花を咲かせていました

その様子は秋の風に楽しそうに戯れる
無邪気な子供のようで
亡き人のことを思い出して少し寂しくなる人々に
なにも知らないあどけなさをふりまいていました

今は彼岸に眠る人たちも
そんなコスモスの様子に
微笑んでいるのではと思えました

雨上がり虫の声音に教えられ 【季語:虫】

2014年09月20日 | 俳句:秋 動物
久しぶりに強い雨が降りました
窓を開けたままでいたら
窓べが水浸しになるほどです

雨は時々止んだりしながら
なおも降り続いたのですが

雨の合間合間に
虫の声がどこからともなく
聞こえてきました

それは雨に呼応するかのようで
雨が強くなると弱まり
雨が弱まると強くなるといった具合です

その声はきっと
傘をさす人なみよりも敏感に
雨粒を感じるのでしょう

雨が止む瞬間を今か今かと待っている
虫を思うとどこかユーモラスで
その声音が聞こえてくると
よかったなと思ってしまいます

紅に命高めて赤とんぼ【季語:赤とんぼ】

2014年09月13日 | 俳句:秋 動物
どこか高くなった空を
赤とんぼが一匹
静かに横切っていきました
随分と高いところを飛んでいた
とんぼが目に付いたのは
きっと随分と赤い体の色が
空とのコントラストを奏でていたからでしょう

とんぼも風の流れの中に
秋の気配を感じているのでしょうか
その紅は夏の終りに
自分の命を燃やし尽くそうとする色にも見えて
飛んでいる最中から炎が点り
燃え上がってしまうのではとも思われました

夕映えて追憶に酔う芒の野【季語:芒】

2014年09月06日 | 俳句:秋 植物
少し肌寒い風の吹く日
夕映えの中でススキの群れが
頭を静かに揺らしていました

遠く離れた
キラキラとしていた夏は
耳の中の余韻となって

すすきはそのかすかな音色を
探り当てようと頭を揺らしている
ようにも見えました

やがて自分たちも追憶の中に
消えてしまうことも今は忘れて
すすきと一緒に去っていくものたちの余韻に
耳を傾けていました