風のささやき 俳句のblog

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忘れ得ぬことを語らい年忘 【季語:年忘】

2015年12月27日 | 俳句:冬 人事

足早に一年は過ぎ
今年は何をしただろうと思い返すと
何もなし遂げておらず
心が寒くなるばかりです

それでも印象に残る言葉や
場面は胸にあって
年忘れの合間に顔をのぞかせます

そんな出来事を友人に話し聞かせて
今年を終わらせます

今年の忘れられないことは
以前の忘れられないことを上書きして
そんな忘れてゆくだけの生に
少し寂しさを感じました

(Haiku)
Year-end gathering,
Bittersweet memories linger,
Farewell’s gentle cheer.


散髪の僕待ち伏せて北の風 【季語:北の風】

2015年12月20日 | 俳句:冬 天文
不精をしていたせいか
随分と長く伸びてしまった髪の毛を
久しぶりに切ろうと
床屋に足を運びました

少し短めに髪を揃えてもらい
頭が軽くなったのを感じながら
床屋のドアを開け
一歩外に足を踏み出すと

髪を短くした僕を
待ち伏せしていたかのように
北風が集まってきて
髪の中を何度も通り過ぎ

その度ごとに僕は
冷たさに肩をすくませていました

野良猫も恨めしげに鳴き冬の雨 【季語:冬の雨】

2015年12月13日 | 俳句:冬 天文
冷たい雨が
一日中降っていました

せっかくの週末
どこかへ行こうかと思っていた僕も
その雨に億劫になり
家の中でごろごろとしていました

夜に少し雨が小降りになったので
買い物に出かけた帰り道
花壇のところにいる
小さな野良猫を見かけました

僕と目を合わせ
その猫は小さく鳴いたのですが
その声が「冬の雨は冷たくて嫌だね」と
恨み言を言っているように聞こえて

「ほんとだよね」と僕は
野良猫を呼ぼうと手招きをしたのですが
そのまま猫は姿を隠してしまいました

口ごもる言葉を聴くか冬の星 【季語:冬の星】

2015年12月06日 | 俳句:冬 天文
冬の夜
僕は白い息を吐きながら
道を歩いていました

道を歩くごとに
胸には色々なことが思い出されてきたのですが
その言葉を聞いてくれる人もおらず
音にならない声で口ごもるだけ
胸に言葉が溜まり苦しくなります

そんな僕を
助けてくれようと言うのでしょうか
空に明るい星が語りかけてきます
まるで僕の言葉を聴くよ
とでも言うように

僕はそのまま黙って歩いたのですが
空に寄り添ってくれるものがいることを覚える時
少し心が軽くなるのを感じていました

北風が背中をさする泣けとばかりに 【季語:北風】

2015年12月02日 | 俳句:冬 天文
12月になってから
とても冷たい風が街を吹き過ぎます
通りではそんな風がまだ枝に残る銀杏の葉を
一息でたくさんもぎとっていきます

暖かい服を着脹れするぐらいに
着込んで歩く僕ですが
隙間から入り込んでくる冷気は
それでも体温を奪って行きます

白い息を吐く僕の後ろからは
強い北風が背中を押して
まるで意地悪をして
僕を泣かそうとでもするかのようでした