風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

尾を引いて風鈴売りの冷の音 【季語:風鈴】

2018年07月28日 | 俳句:夏 人事
街角を歩いていたら
どこからか涼しげな音が聞こえてくるので
そちらの方へと歩いていくと
風鈴売りが道行く人に
風鈴を売っているところでした

高く透き通った音につられて
その一角には
爽やかな風が集まってくるようで
まるで風鈴のすだれを
何度も行き来しているようです

きっと風鈴売りは
通りを歩き
そんな涼しさを落としながら
歩いているのでしょう

風鈴売りの残した音の余韻が
耳の中で涼しく響いていました

夏の空真一文字や雲の筆 【季語:夏の空】

2018年07月21日 | 俳句:夏 天文
真昼時のこと
電車に乗ってぼんやりと
車窓から外を眺めていました

久しぶりに陽射しの強い
夏らしい一日
少し開かれた窓からは
甘い草の香りが入って来て
鼻腔をくすぐります

空も夏らしい青い色
その下に横たわる山の峰も
随分と色を濃くしています

その空には何の迷いもない筆使いのように
真っ直ぐに引かれた雲が一つ漂い
僕は視線を奪われていました

午睡にも祭囃子や窓の風 【季語:祭囃子】

2018年07月14日 | 俳句:夏 宗教
その日は近場で
とあるお祭りがあるという話を
地元のテレビで知り
見物に出かけようと家の者と話をしていました

幸いに天気も良く
外を歩くにはうってつけの陽気です
昼食を食べた後に出かけようと食事をとると
急に眠くなってきて
昼寝をしてしまい結局は出かけずじまい

それでも窓から吹き込んでくる風が
かすかな祭囃子を運んでくれたようで
お祭りの夢を見ていました

どくだみの花ほっといる無人駅 【季語:どくだみ】

2018年07月07日 | 俳句:夏 植物
とある晴れた週末
電車に乗って遠くにでかけました

目的の駅で降りるとそこは
駅員さんもいない無人駅

通り過ぎる電車の数も少なく
僕を置いて電車が走り去ると
後は随分と静かになり
風の音が耳元によく聞こえてくるようでした

改札に向かって歩いて行くと
一本の柱の根元に
コンクリートの間から顔を出した
どくだみが白い花をつけていました

誰もいたずらする人もいないのでしょう
暢気な様子で風に吹かれています

綺麗な姿で咲くどくだみを眺めていたら
ほっとする気分を覚えて
足取りも軽くなったように感じていました